2018年2月28日水曜日

2種類の固めどり

2月24日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
男性TSさん、男性MKさん、NS夫妻。
クラックのリード中、「ちょっと甘いかな」と自覚できるカムが抜ける可能性は、何%と見積もるでしょうか。

「甘い」ことの正体も、色々だと思います。
岩が欠けそうなのか、ブラインドセット気味になってしまったのか、はたまたフレアしている箇所にやむを得ず決めたのか、歩きそうな不安が大きいのか。
仮に、「ちょっと甘いかな」=「80%は止まりそう」とします。

すると、20%が事故リスクとして残ります。
これでは危なすぎてクライミングにならないので、もう1個バックアップを取ったとします。これも、同様に「ちょっと甘いかな」と感じたとします。

とすると、20%×20%=4%となるので、だいぶ事故リスクは下がります。

これなら、まともなクライミングが出来るでしょうか?
「ムーヴの難しさとか、先が読めているかに依る。落ちる可能性が低そうな状況でのみ。」
ってところでしょうか。
一方で、「バッチリ決まった!」と思ったカムが抜ける確率は、どうでしょうか?

ヒューマンエラーだけが問題になるので、本人のスキルとか、そもそも失敗しにくそうな綺麗なクラックかどうか、なんていう要素がメインになります。

この可能性を、仮に1%とします。
ここでも、同様にバックアップにもう1つ決めたとして、こちらも「バッチリ決まった!」とします。

すると、1%×1%=0.01%となります。

これなら、落ちる前提でも突っ込めるでしょうか?
それとも、まだ不足でしょうか。
「固めどりしといた方が良いと思うよー。」などとクライマー同士で会話するのは、こういう議論が前提にあるんだと思います。

カム評価とカム抜け確率の相関関係は、スキルに依存します。
どの程度の事故リスクを受け入れてクライミングするかも、本人次第です。事故が、死亡リスクが多大に含まれるかどうかも、状況次第です。

個人的には
・前者は、2つ合わせてバチ効き1個分未満。だけど、落ちる確率が低いセクションでは有効なリスク低減方法
・後者は、落ちる前提のクライミングをする安心条件(バチ効き1個でも、リスク承知で落ちるときは結構あるけど・・・)

として考えています。

「登りながら、こんなことを考えるなんて無理」という初心者の声も、よく聞きます。
でも、冒険的なクライミングをしたくてクラックやらマルチピッチをやりたいのなら、リスク計算は必須ですよね。