2016年3月31日木曜日

山はスタティック

3月31日(木)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性OGさん。
<ムーヴ練習>

次の一手を出すとき、スタティックムーヴとダイナミックムーヴがあります。

スタティックは、保持している側で片手バランスを作って、出す片手をフリー(バランス上、要らない状態)にする方法です。
余裕があれば、片手で引き付けた状態であっても、レストすることもあります。
<懸垂下降>

一方、ダイナミックムーヴは、その逆です。
反動を利用することが多く、デッドポイント、ランジなどが典型的です。
<5.8以下でのリード練習>

スタティックが山で向いているのは、例えばこんな理由があります。

・次のホールドが悪かった場合でも、そのバランスのまま、別のホールドを探したり、前のホールドに戻ることができる。

つまり、ギャンブル性が低いってことです。
<空いていた桃源郷>

ただ、講習していて、9割以上の人はスタティックとダイナミックの区別が曖昧です。

本人はスタティックなつもりでも、微妙に片手バランスになりきれていないので、若干のデッドポイントになっています。
例えば、出す手を急いで出している人は、片手バランスに自信が無い証拠です。

興味深いのは、めちゃくちゃ怖がっているのに、若干のデッドポイントになっている点です。

(ちなみに、それもムーヴとして意図的にやるなら構わないのですが。)
<人生色々、すあまも色々>

で、やってみると分かることですが、若干のデッドポイントであれ、戻ることは困難です。
<明るいうちに撤収>

岩場リード講習では、ホールドを探しながら登るようなスラブ~垂壁で行います。
グレードも、5.8~5.10b程度です。

まずは、ここでスタティックをしっかりと覚えて欲しいところです。
ホールドを探しながら登る、というのが練習にちょうど良いので。

ダイナミックが有効なのは、次のホールドに確信があるor落ちても安全な場面、というぐらいに思っておいて大体間違いないでしょう。
<桜>

とはいえ、スタティックにも終わりがなくって、講習レベルで言うと、マルチピッチリード講習を受けるぐらいの人には、さらにスタティックに拘って欲しいところです。

全ムーヴをスタティックで登れという意味ではなく、自分がスタティックかダイナミックか、その中間くらいかを意識化して登ってほしいということです。

越沢に苦手意識のある人には、特に必要な練習だと思います。
<花があります>

具体的な講習内容
・ムーヴ練習
(手をホールドに馴染ませる、保持しているホールドへの圧力をキープする、スタティックorダイナミック、など)
・終了点作業練習
(結び替え、懸垂下降)
・捨て縄について
・リードで落ちる練習
・実践リード
5.8以下のルートを5本以上。本気トライというよりも、まずは落ち着いてリードすることを意識して。

2016年3月30日水曜日

量より質の時期?

念のため、5月分の予約受付は、明晩です。
4月1日の午前0時スタートです。

3月29日(火)、30日(水)は、1人スキーにて、かぐら。
<スキーも、キッズは上手>

クリップ練習にせよ、ロープ畳み練習にせよ、数をこなせば、ある程度は慣れます。

特に、「慣れよう!」という意識を持ってやれば、ちょっとした発見や、ちょっとした滑らかさを喜べるので、ベターですね。
<パノラマ>

しかし、それも十回~数十回で限界に達すると思います。
成長率が下がって、反復がつまらなくなります。
<天気は上場>

スキーも同じなんだと、つくづく思います。
延々と、同じ斜面を滑る訳ですし。

打開策を色々。
①スクールを受けるなど、アドバイスをもらうチャンスを作る。
②傾斜、圧雪具合、斜面方位、ターンの種類、などを変えて、その日そのときに、一番成果が出そうなものを反復練習してみる。
③コブ、超緩斜面でのスケーティング、時間帯や日射などによる積雪状態の変化、などを利用して、練習内容を調整。
<2日目は、田代エリア限定券にて>

最近は、がむしゃらに反復練習するよりは、以下のようなメニューが面白くなってきました。

1回目に滑って「今にもコケそうで、ダメだったな。」と思った斜面を、気合いを入れてもう1回滑る。
最低限の安定感を感じたら、それを1~数回だけリピートする。
で、次の斜面に移動。
(それなりに気合いを入れないと安定できないので、それ以上やっても集中力が切れる)

※1回目で、自分なりに安定感を感じた場合は、次の斜面に移動。

これって、ボルダリングで1撃できる課題を、サーキットトレーニングっぽくやるのに似てますね。

ただ、これって1人だからこそ出来るメニューですねー。
あと何回で次の斜面に移動するか、全く予定が立たないんで。

2016年3月28日月曜日

5月の予約受付

今回は、だいぶ遅くなってしまいました。
4月1日(金)の午前0時(3月31日から4月1日に変わるタイミング)より、5月分の予約受付を開始いたします。

クライミング講習に関して、主な場所を確認します。

①岩場リード講習:小川山
マルチピッチを目指す上では、スラブのリードは必修科目です。
ジムでのクライミング能力と比例しませんので、参加条件ギリギリの方でも、回数を掛ければ十分対応できると思います。

②クラックリード講習:湯川
5.7~5.10台が充実しています。
講習では、通常は5.9以下でリードを行いますが、復習参加の方にもそれなりの課題があります。

③マルチピッチリード講習:小川山、越沢、三ツ峠、ときどきミズガキ
段々と、マルチが気持ち良い季節が近づいてきますね。

その他、読図講習なども随時受付しております。

駆け込み城ケ崎

3月27日(日)は、クラックリード講習にて、城ケ崎。
男性NSさん、女性SMさん、男性KYさん、女性MMさん。
<脱力を意識する>

クラックリード講習は、4月から湯川に戻ります。

ただ、城ケ崎の方が易しいルートが数本あるので、ハンドジャムを覚えるには楽だと思います。
<社交ダンス、ではない>

という訳で、今回のうちの3人は、おそらく
「城ケ崎から始めた方が、クラックが好きになれそう。」

という見込みがあったと思います。
<本日も暖かい>

今回も、直前まで天気予報が微妙でしたが、なんとか決行。

徐々にジャミングの痛みが無くなってくる様子に、皆さん嬉しそうでした。
ま、湯川より岩が滑らかですしねー。
<鬼ころしで、落ちる練習>

さて、これから徐々に山梨と長野でのクライミングシーズン。

小川山・ミズガキで花崗岩の美しさを愛でる日も、もうすぐでございます。
<まずは、ジャミングに慣れましょう>

また、今回でNSさんは、クラックリード講習を卒業といたしました。

オンサイトトライでフォールしてから、しっかりとハングドッグして、トップアウト。
<立木でロープワーク練習が出来るのは、城ケ崎の魅力>

ただ、本人的には
「まだ卒業したくないです。」
ですって。

理由は
「登りも作業も、ダメダメだった。」
「綺麗にオンサイトして、終わりたかった。」

とのこと。
<懸垂下降>

復習参加で、湯川にいらっしゃるつもりだそうです。
是非とも、お待ちしております。

ジャミングも、カムセットも、本気トライも、まだまだ教えたいことはありますからねー。
<フラッシュダンス>

具体的な講習内容
・ハンドジャムの練習(脱力、捩じり過ぎない、効く方向を意識する、などなど)
・テーピングの仕方(KYさん、MMさん)
・地上でのカムセット練習(NSさん、SMさん)
・リードで落ちる練習(NSさん)
・トップロープでの練習(KYさん、MMさん、SMさん)
・疑似リード(SMさん)
・実践本気トライ
NSさん:フラッシュダンス(5.9) オンサイトトライにて、フォール。その後、ハングドッグして、トップアウト。2ヶ所、ムーヴ解決せずに、A0で割愛。
<めちゃくちゃ頑張りました!>

足し算型、引き算型

3月25日(金)、26日(土)は、岩場リード講習にて、湯河原。

1日目は、女性WNさん、男性KBさん。
2日目は、NSさん夫妻、男性KYさん、復習参加の女性MMさん。
<リードに必要な安定感を探る>

1年くらい前に、ちょっと面白い文章を読みました。

初心者には、足し算型指導が有効。
上級者には、引き算型指導が有効。

といった内容です。
<終了点を見る>

足し算型は、
「今回は、これが出来るようになったね!」
というものです。

引き算型は、
「目標に行くには、これも出来るようにならなきゃね。」
というものです。
<アブラカダブラ>

「初心者に引き算型で教えると、あまりに厳しく感じるので、モチベーションが落ちる。」
といった趣旨。

当たり前なんですが、意識するとベターという内容ですね。
<後姿限定?>

岩場リード、クラックリード、マルチピッチリードの各段階でも、同じです。

私も熱くなると、
「いやいや、自立して岩場に行きたいんだったら、このぐらい覚えようって思わないとダメでしょ!!!」
と言いたくなります。

実際、言ってしまうことも多々あります。
それが原因で、講習に来なくなった人も何人もいるような気がします。

でも、
「“自立して、リード中心で岩場で登る”というイメージが、まだ湧いていないんだろう。」
と理解するべきなんでしょうね。
<だいぶサマになってます>

そういう人には、
「ムーヴが、落ち着いて来ましたね!」
「ボルトを見る意識が、付いて来ましたね!」
「終了点作業が、ちょっと分かって来ましたね。」

という講習日数を過ごすほか無い、と考えています。
<マゾおけさ(5.10b)>

同じことは、本人の受講意識にも表れます。

初期段階は、
「上手くなるためのヒントを得たい。」
「とりあえず、卒業って言われたい。」
という意識が先行します。

後半の段階になると、
「自分で行くなら、こういうことも覚えないと危なそうだ。」
という意識が先行します。
<2日目>

これは、講習生本人が持っていても良い意識でしょう。
例えば、今回の2日目に参加されたKYさんは、岩場リード講習は未卒業ながら翌日のクラックリードにも参加。
(自分で岩場に通っていて、すでにクラックリード講習の参加条件は満たしているのでギリギリセーフ。)

なんで、岩場リードに関しては、引き算型の思考になってきているように思います。
「あとは、これも知りたい!」

で、クラックは、足し算型から再スタートです。
「へー、ジャミングって、こんな感じか!」
<足し算型思考のお手本、NS奥様>

「自分は時間が掛かりそうだ。」
「先が見えない。」
と、モチベーションが落ちそうなとき。

是非とも、足し算型で考えてくださいませ。
具体的な講習内容
・ムーヴ練習
・ボルトの種類とボルト見学ツアー
・リードで落ちる練習
・実践リードトライ
1日目
WNさん:いんちきするな(5.8) オンサイト
     シルクロード(5.7) オンサイト
KBさん:アブラカダブラ(5.10a) 再登
     マゾおけさ(5.10b) オンサイトトライにて、1テン
<KYさんも、少しずつ落ち着いて来ました>

2日目
NS奥様:アブラカダブラ(5.10a) 再登
NS旦那様:アブラカダブラ(5.10a) フラッシュトライにて、無念のフォール 
KYさん:フック船長(5.10a) 再登
     アブラカダブラ(5.10a) 再登
MMさん:フック船長(5.10a) 再登
     ゼルダ(5.11a) テンション掛け掛けムーヴ解決
<アブラカダブラ&ゼルダ>

<こんな看板がありました>

感心しました。
怒る気持ち、強い非難したい気持ちをグッとこらえて、静かな呼びかけ。
なんだか、学校の生活指導っぽい。

2016年3月24日木曜日

ジムも大事

3月24日(木)は、マルチピッチリード講習のはずが、途中にて雨中止。
女性HMさん、女性HSさん。
<某所に、屋根発見>

本日は、青梅あたりで小雨ばっちり。
とりあえず、様子見でロープワーク講習してみるも、結局昼近くまで小雨なり。

という訳で、午前中はミッチリとロープワーク。
午後から、ランナウトでムーヴ講習。
<セカンドのビレイ>

ただ、この2つの講習って、マルチピッチリード講習をしながら、
「本当に、全員受けて欲しいんだけどねー。」

と常々思っている内容です。
<寒いけれど、居心地良好>

具体的には、まずロープワークの手際。

闇雲に急ぐのは論外ですが、「もう少し練習して頂いた方が・・・」とは常々思っています。
とはいえ、自分で練習してもポイントが掴めないことも多いのは、よくよく知っております。
<地元の女性達が集まり、輪投げを競う>

次に、リード中のムーヴの安定感。

落ちたら大事故、下手すりゃ死亡、というセクションもリードさせているので、講習生のムーヴの安定感が気になって仕方ありませんよ!

できることなら、私と同じ安定感で5.8を登ってほしいぐらい。

簡単なのを少しずつ安定させて行くのは、やっぱりコーチが居た方が良いと思います。
自分で練習するなら、基礎練習より試合(本気トライ)が中心になると思うので。
<色々なコツが、分かって来ました>

講習生の皆さまも、他人事と思われず、ときどき御検討くださいませ。
<午後は、ランナウトへ>

具体的な講習内容
・セカンドのビレイを洗練
・肩、指の脱力について、また一歩詳しく
・足の移動の善し悪しを厳密に
・5.7から順に、反復練習メニューを自力で組んでみる

2016年3月23日水曜日

復習

3月21日(月)は、マルチピッチ体験にて、越沢。
男性SRさん。
実はSRさん、マルチピッチリードを受講中です。

シーズン初めの復習がてら、たまたまあった体験講習枠に御参加。
のはずが、御相手がキャンセルしてしまい、まさかのマンツーマン。
<オブザベ>

せっかくなんで、枠はそのままに体験講習をトレースしていきます。

とはいえ、スリングの収納練習や、コールなしの流れは省いて、朝から頂上を目指します。
<いつもと違う場所でビレイ点作り>

その中で、ルートファインディング、思ったより悪かった場合のサブプラン、敗退シナリオを考えてもらいます。

当たり前ですけど、1年以上前に体験講習を受けたときとは別人の理解度ですねー。
<結果的に、いつもと違う写真の構図>

せっかくなんで、いつもと違う場所でピッチを切ってみたりします。
※どちらにせよ残置無視なんで、カムさえ効けば、どこでビレイ点を作っても良い。
<ここは、お決まりのシーン>

それでも、半日で体験講習の復習は終了です。

ここまでで、SRさんには幾つかの自信が芽生えたようでした。
<余った時間で、2ピッチだけリード>

①落ちそうな箇所が限定的になった。
(昨年は、全体的にムーヴが不安定だった。)

結果的に、戦略も立てやすくなり、クライミングそのものを楽しむ余裕も出て来た。
<2ピッチ目>

②サブプランを検討しながら登ることなど、マルチっぽい考え方に慣れて来ている。

③システムは、遅いながらも結構覚えている。

という訳で、
「越沢も、なかなか良いヤツですねー。(昨年までは、嫌ってましたけど。)」
と上機嫌。
<頑張ってますねー>

復習で整理されたことにより、新たな世界が見えたようです。

次回のマルチピッチリード講習、楽しみにしております。

2016年3月21日月曜日

山の知り合いを増やす会

明日の3月22日(火)、夜に定例の飲み会を行います。

2月末に、私の都合でパスしたので、振替になります。
皆さまの御参加お待ちしておりますので、メールなどでの連絡お願いします。

怖い気持ちも大切

3月20日(日)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
安曇野の女性KDさんと男性TYさんペア、男性YDさん、復習参加の女性KIさん。
怖いと感じる気持ち、誰にもあると思います。

クラックでフォールするかもしれないとき、初心者なら当然怖いと思いますよね。
この気持ちと、いかに付きあって行くかは、クライミングの1つのテーマだと思います。

例えば、
「怖いけど危なくないときは、なるべく頑張ろう。」

ってのは、最大の例だと思います。
逆もあって、
「怖くないから油断しがちだけど、実は危ないから緊張せねばならん。」

ってのもあります。

ハンギングした終了点作業より、足場がある終了点の方が失敗することもあるとか。
高さ10m未満のリードは、案外危ないとか。
怖がりな人は、徐々に
「このぐらいなら大丈夫だから、頑張ってみよう。」
と思って、安全圏を広げて行きます。

リードで、なかなか落ちれない人が、徐々に落ちられるようになる過程とか。

こういう人は成長は遅いけれど、見ていて安心感はあります。
<鬼ころし>

たまに、怖さを感じにくい人もいらっしゃいます。
そういう人は、逆にリスクを頭で覚えて行く必要があるようです。

最初から、わりと普通に落ちられる分だけ、逆に落ちちゃいけない場面を考えなきゃならないということ。
<メルトダウン>

後者の人は、気持ちが先走らないので冷静そのもの。
講習していても、物分かりが良い人が多いです。

ただ、初心者の恐怖センサーって、半分くらいは正解を当てますよねー。
だから、邪魔なときもあるけど、捨てたもんじゃない!

センサー過敏な前者の人が、徐々に安全圏を広げれば、堅実なクライマーになる気もします。
<純&鬼ころし>

本日、初めてクラックでリードしたYDさんは、怖がりそのもの。

「常にトップロープ状態じゃなきゃ、嫌!」
とばかりにカム連打。
核心部は、50cm間隔です。

で、降りてきたら
「怖いから取っちゃうんですけど、冷静に考えると少しは減らせますよねー。どのぐらい(頑張って)減らすのが妥当なんでしょうか?」
という言葉を私に掛けてくれました。

これ、模範生みたいな質問ですね(笑)!

成長がゆっくりな講習生の多くは、
「だって、怖いんだもん!」
という問答が、しばらくの間は続きます。
最近、そうコメントするゆっくりさんが講習生の大半な気もしてきましたが。

恐怖センサーに任せっぱなしも良くない。
役に立つことも多いから、完全無視も良くない。
私は、そんなイメージです。


具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツ
・トップロープでの、ジャミング、安定したムーヴ、チムニーの基礎練習(KDさん、TYさん)
・トップロープでのトライ(鬼ころし。KDさん、TYさん)
・地上でのカムセット練習(YDさん、KIさん)
・カムで落ちる練習(YDさん、KIさん)
・実践本気トライ
YDさん:鬼ころし(5.7) R.P.
     純(5.8) R.P.(数年前に触った程度なので、かなりオンサイトっぽい)

KIさん:メルトダウン(5.9) R.P.
     本日2トライ、通算5トライ。
     プロテクションが難しめ、痺れるランナウトも出てきて、ムーヴは90%フェース。
     という激渋の1本。
     マルチピッチの練習にいかがでしょう?

今回で、ジャミングが痛くなかったのが収穫という安曇野の2人。
これで、また湯川に繋げていただければ幸いです。