2015年8月31日月曜日

講習ルールと、本当に伝えたいこと

8月30日(日)は、岩場リード講習が中止にて、ロープワーク。
もともと受講予定の男性NSさん、加えてロープワーク希望の女性ARさん、女性KSさん。
<ARさん、KSさんは、マルチピッチ用のトラブル対処など>

講習では、原則PAS(デイジーチェーンの進化版みたいなもの)は使いません。

ボルトルートや、クラックなどのショートルートでは、上手い人で使っている例自体が稀なので、当然と言えば当然です。

でも、最近は、マルチピッチリード講習でもPAS禁止にしています。

実際、ゲレンデマルチくらいなら、PASは無い方が楽なことが多いよう感じているというのもあります。
<NSさんは、終了点の基本作業を洗練>

ただ、禁止にしている真の理由は、ちょっと違います。

初心者のうちからPASに慣れると、他の方法でセルフビレイを取ることに習熟出来ないと感じるからです。

例えば、ヌンチャク、スリングでのカウテール、メインロープでのクローブヒッチ(インクノット)。

こういった選択肢が色々とある中で、
「それでも今回は、PASを持って行った方が楽だな。」
と判断できるなら、それもアリだと思うんです。

だから、
「ゲレンデマルチでPASを持って行くなんて、卒業生にあらず!」
などと馬鹿なことは言いません。
(というか、僕は持って行くこともあります。)

ただ、
「メインロープでのセルフ、ちょっと不慣れだし。PASだと、考えることが1個減って楽だし。」

くらいの理由でPASを持って行くと、頭を使わないのでダメな習慣だと思います。
<結構、ロープワークは好きそう>

他にも、色々あると思います。

①残置無視のルールでやっているけれど、伝えたいことは“初登攀ごっこ”の精神。
そういう意味では、トポを詳しく読まないこと、先行者が居ない状態で登ることの充実感が大切かも?
<タイミング悪く、鉢合わせ>

②トップロープリハーサル禁止のルールでやっているけれど、伝えたいことは本気トライ中の安全管理や、ハングドックの方法。
③コール無しのルールでやっていますが、実際にはコール無しでも流れが読めるように常々意識すること。
だから、慣れてきたらコールありも交えて良いと思います。
(実際、コール無しが出来るパーティでも、コールした方が楽なこともある)
<最後は、フィンガークラックで身体を動かす>

少し余裕が出てきたら、教え方の意図まで汲み取って欲しいなと思います。
その方が、自分の登りに余裕が出てくるはずですから。

まぁ、でも講習生は原則初心者な訳です。
裏読みを求めるのは、私の求め過ぎなんでしょうか。
<さすがKSさんは、ムーヴが格好良い>

具体的な講習内容
午前:
・ロープの畳み方を洗練(KSさん、NSさん)
・アルパインクイックドロー、スリングの収納を洗練(ARさん)
・リード&フォローから懸垂下降への移行の流れを練習(ARさん、KSさん)
・終了点作業を洗練(NSさん)

午後:
・セカンドのテンション解除(ARさん、KSさん)
・終了点作業のトラブル対処方法(NSさん)
・登り返し(触りの部分だけ)(NSさん)

・フィンガークラック練習
<ジャミングも好きそう(笑)>

2015年8月30日日曜日

いつの間に、クラックムーヴ?

8月29日(土)は、クラックムーヴ講習が中止にて、ムーヴ講習をビックロック日吉にて。
もともとの参加者だった、女性SGさん、男性STさん。
加えて、女性HKさん、男性SKさん。
<とりあえず、離陸は問題なく>

ムーヴ講習の通常メニューは、一般的なジムルートの省エネ技術&リード戦略です。

今回は、SGさんの希望により、ちょっとチムニーも知りたいとのこと。
ではでは、「フェース中心で、少しクラックも交えつつ・・・」という話で、残り2名にも話をして。
<ワイドは、笑いが絶えない>

で、まず午前中2時間は、予定通り省エネ技術いろいろ。
ホールディングから始まって、肘をホールドの方向に合わせるとか、腰を入れるかどうか。

が、実はビックロック日吉は、ちょっとフェースのムーヴ講習をするスペースが足りません。

空いている壁を右往左往するのにも疲れ、
「午後は、チムニーからですね。(もしかすると、午後はクラックばっかり・・・)」
という流れ。
<フレアーハンドを得意とするSGさん>

で、とりあえずチムニーを4人で交代しながら講習。

最後に、全員1トライずつ。
が、一番チムニー講習を欲していたSGさんではなく、HKさんが開眼していたような・・・。
<なぜか、クラックばかりに誘い込まれるSKさん>

お次は、HKさん希望のフレアーハンド(笑)。
で、HKさんは本日初めて完登したそうです。

STさんも、ちょっと足の使い方のイメージが変わった様子でした。

「いやいや、SKさんはハンドクラックもやったことないし。」
という話で、SKさんは普通のハンドクラックを3本ほど。
<広いチムニー>

お次は、広いチムニー。

これは、初クラックのSKさんが才能を感じさせる完登。
こっちは、SGさんもやる度に進歩が見られるようなので、練習には良さそうです。
<神の登り>

「じゃあ、フィンガーも。」
という流れで、向かったら神様がトライ中。

これを見学してから、全員で基礎練習。
またもや、HKさんがガンガン吸収していて、他の3人を驚かせていました。
<本日の一大セッション>

そんな訳で、結局7割方はクラックムーヴ講習(笑)。

しかも、講習後も私もクラックで遊んで・・・。
挙句の果てに、スクイーズチムニーを足先行で登るというセッションが発生!

神様やら、まによんさん、ironさん、そして2人の講習生も交えて、大盛り上がり。
初登は、まによんさん。
みんな、5cmとか15cmとかのトライを繰り返す中、1トライ目で完登!!!

ロワーダウンして来ると、ジム内が拍手喝采。
まるで、ローカルコンペの決勝のような盛り上がりでした。
凄すぎます!

あまりにもクラックの印象が強すぎて、午前中のフェースの講習内容が吹っ飛んでしまった皆さんでした(笑)。

2015年8月28日金曜日

10月の予約受付

直前連絡で、申し訳ありません。
8月31日(月)の0時から、10月分の予約受付を開始いたします。

最近は、予約合戦も少ないので、だいぶ穏やかです。
ちょっと不安になることもありますが(笑)。
ただ、同じ人に何回も来てもらわないと、本当に伝えたいことは伝わらない気がしているので、これはこれで良いのかなと。

さて、ちょっと時間があるので、10月の講習エリアを確認します。

①岩場リード: 小川山(11月からは、天王岩)
②クラックリード: 湯川(12月からは、城ヶ崎)
③マルチピッチリード、体験: 越沢、三ツ峠、小川山、稀にミズガキ
④読図: 奥多摩(これは通年です)
⑤研修登山: 沢登りは、水が少ない沢に限って

冬関係の講習は12月からなので、10月、11月はクライミング一辺倒になりそうですね。

公募

明日は、予報が微妙につき、クラックムーヴ講習は中止になりました。

それに際し、ムーヴ講習6時間コース@ビックロック日吉、を開催することになりました。
10時に、お店に集合です。

現在2名(残り2名)です。
もしよろしければ、検討下さい。

2015年8月26日水曜日

遠路ありがとうございます

8月26日(水)は、岩場リードが雨中止にて、ロープワーク講習。
女性OGさん、足利の男性NMGさん。
<ロープ畳み>

NMGさんは、普段は栃木で山岳会仲間と登っております。

実際、夏はクラックエリア、冬はアイスクライミングエリアと、講習外でも時々お会いしました。
<終了点作業練習>

で、基本を学び直そうと、当塾にも時々通ってくださっております。

今は、岩場リード、クラックリードも卒業して、復習受講の段階。
マルチピッチリード講習に向けて、パートナー探しもしつつ。
<ハンギングでの終了点作業>

で、今回は初めてロープワーク講習にも参加してくださいました。

6時間講習のために往復6時間近くのドライブとは、頭の下がる思いです。
<懸垂下降の仮固定>

ロープワークも、トラブル対処方法まで理解するには、5回とか10回とか受けてもらいたい内容・・・。
ムーヴ講習と同じで、たとえ中級レベルになったとしても、見てもらう価値はあるでしょうから。

とはいえ、なかなか気軽には来られませんよね。

遠方から1回来られる方は、かなりおります。
が、続けている方は、さすがに少数です。
このまま、コツコツ続けて欲しいです。
具体的な講習内容
・ロープの畳み方を洗練(肩畳み)
・ショートルートの終了点作業練習(結び替えに関して、あれこれ)
・懸垂下降の仮固定
・フィンガークラック練習
NMGさんは、フットジャム限定まで完登。
OGさんは、足自由で完登。(初ジャミングなのに、すごい!)

光の見える試行錯誤

8月25日(火)は、昼がムーヴLv.0。
女性THさん、女性Sさん、新規女性YDさんの3名。

夜は、無料体験で珍しく満員6名。
ムーヴ講習は、主に易しいルートで行います。

1手1手レストする練習では、各ホールド毎にレスト態勢を作ってみて、
「うーん、こっちの方が楽かな。こっちの方が安定するかな。」
と試行錯誤。

で、少し慣れてきたら、足を動かすときや一手出すムーヴそのものについて、同じように試行錯誤。

ちなみに、本気トライも同じです。
「こっちの方が、落ちる可能性が低そう。こっちの方が、手が出せそう。」
と試行錯誤。


で、可能性が見えるくらいの試行錯誤は、テクニックトレーニングには大変有効です。

①「さっきより、楽に休めてる。」 → レスト技術の僅かな向上
②「さっきより、楽に手が出せた。」 → 基本ムーヴの僅かな向上
③「さっきは止まらなかった一手が、止まった(or止まりそうな気配でてきた)」 → 突破力の僅かな向上

③は本気トライでしか学べませんが、①と②は講習の得意分野です。
試行錯誤で、少し分かってきたら、次は反復練習。
頭と体の両方がリンクしてくる頃には、もう動きが少し変わっていますよ。
具体的な講習内容
ムーヴLv.0:
・1手1手レストする練習
・オートビレイの使い方練習
・ダブルチェック
・安定するまで反対の手を離さない方法
・足をスタンスに馴染ませる
・足を回す方法(インエッジからアウトエッジに切り替える、など)

迷えるクライマー達

8月23日(日)は、自分のクライミング。
S本くん、すなわち神と。
<雨降って、入山1時間で下山>

朝のミズガキは、少し降ったのか、道路も湿った様子。
しかも、上の方はガスっています。

駐車場には、知り合いのクライマーばかりが集っておりましたが、判断はバラバラ。

我々は、多少濡れていても、易しいのを選んで登る覚悟でアプローチ開始。
<御神体は、一般公開しておりません>

でも、20分くらいで雨が強くなり、少し岩屋で様子を見るも、観念して下山。

駐車場に戻ると、

・我々と同じパターンで敗退した人
・腹を決めて昼前まで乾き待ちの人
・転戦候補エリアの天気情報を集める人

むしろ、朝7時半より9時前の方が、知り合いが増えてる・・・。
<朝だけ小雨予報で、迷えるクラッカー達>

で、我々は、昇仙峡へと転戦。

神が3年前に行ったエリアの記憶、駐車場で知人に聞いたエリアの入山口情報くらいが頼り。
不安漂いますが、どうせ微妙な天気ですしね。
<昇仙峡>

とりあえず、神の記憶を頼りにスタート。
<お花畑>

が、渡渉点が様子が変わったのか辿り着けず・・・。

まぁ、観光客から見え無さそうな岩を、適当に登ってみますか。
たぶん、神記憶のエリア近くなんでしょう。
<悪い渡渉>

と言う訳で、見つけた5.9くらいのオフィズスを1本オンサイト。

細い木をなぎ倒しながら登ったんで、おそらく初登でしょう。
まぁ、探さなきゃ見つからない割には、実質のクラックは10mも無いです。
今後も誰も登らないかな。
<第2登する神>

その周辺を散策するも、めぼしい登攀ライン0本・・・。

別ラインから渡渉して、遊歩道に戻ります。
<やっぱ悪い渡渉>

遊歩道周辺は、さすがに岩は綺麗でしたし、顕著なクラックもありました。
が、さすがに登ったら、世間的にまずいでしょうね。

ちなみに、売店では神が外国人バックパッカーだと思われて、
「Water? Water?」
とペットボトルを勧められる一幕も。
神なんですよー。
<こちらは、一般公開中>

で、14時半から、もう1つの情報の沢筋へゴー。

結局、捜索範囲が広すぎるので、ザックをデポして空身で散策。
16時過ぎに自分たちに丁度良い岩場を見つけ、17時過ぎにザックを持ってきてクライミング開始・・・。
<コーナークラック>

でも、綺麗なワイド(推定5.10a)と、コーナークラック(推定5.10b)を登れたので、満足でした。
しかも、前者はビショ濡れ、後者は風化激しめと、実際にはもっと充実した登りでした。

(グレードは、あくまで乾いていた場合を想像して推定したもの)
<クラック内部は、ヘッデンで照らすと見やすい>

ちなみに、残った人からの情報を聞くと、
・カサメリ沢の乾きの良いルート
・末端壁
・エンペラータワー周辺
といった、ミズガキの乾きの良いエリアも、それなりに登れたようです。

でも、ジム転戦した人も、「もちろん充実した!」という話を聞いたり。

どうやら我々は、登るのが大好きみたいですね。
<下山>

2015年8月25日火曜日

スラブムーヴ講習を兼ねて

8月22日(土)は、岩場リード講習にて、小川山。
女性HKさん、女性WNさんの2名。
岩場リード講習では、半分の時間をムーヴ練習に充てることが多いです。
リードに最低限必要な安定感、という意味です。

小川山の場合は、スラブ。
天王岩の場合は、垂直前後のフェース登り。
湯河原の場合は、その中間くらい。
<凹角でのムーヴ練習>

特に、スラブに関しては、ジムのムーヴ講習で補填することが難しいので、オススメしております。
基本的な原理が分かれば、楽しくなって来ますから。

また、岩場リード講習やクラックリード講習を終えている人が復習参加する場合は、やはり小川山をオススメしております。
ジムで5.11が登れても、スラブが苦手だと、マルチピッチや登山で苦労するでしょうから。
<疑似リード>

5月~10月の約半年は、なるべく小川山でやるようにしております。

ジム、フェース、スラブ、クラック、と何でも多少は出来る。
どれも、すごく上手くはないんだけど・・・、一応オンサイトリードでトライすることぐらいなら。

ってのが、オールラウンダーを目指す上では、重要だと思います。
<終了点作業の練習>

具体的な講習内容
・スラブの足置き練習
・凹角を使って、ネコ足とフワッとホールディングする感覚
・ヌンチャクの向き
・ボルトの種類
・終了点作業の練習(結び替え)
・疑似リード(WNさん)
・落ちる練習(HKさん)
・実践本気トライ
HKさん:高い窓(5.10b)ムーヴ解決ならず、自力で回り込んでヌンチャク回収には成功!
<高い窓>

2015年8月24日月曜日

様々なバックグラウンド

8月21日(金)は、クラックリード講習にて、小川山。
いつも通り、湯川のつもりが、なぜか小川山の方が天気が良いというパターンにつき変更。

女性HSさん、女性HKさん、加えてクラックリードは卒業している男性ITさん。
今回の3人も、全くバラバラの経歴です。

ITさんは、高校時代から登山をやっており、会社勤めが忙しい30代はガイド登山でクライミングを。
そこから、最近になって思い立ったのか、当塾で本格的に勉強し直し。

岩場リード、クラックリードと卒業しておりますが、仲間が見つからずに、講習継続しております。

マルチピッチまで目指して、パートナー探しも含め、コツコツやっております。

ジム嫌いで通っておりましたが、ついに最近ジムに行き始めたそうです!
人間、ちょっとずつ変化するものですね。
HSさんは、山岳会育ち。

山歩きは自分で行きますが、沢登りになると、リーダーで行く自信はちょっと無いというくらい。
ほとんどロープを出さないくらいのところなら、何とか行ってみたり。

「このままじゃぁ」と思って、岩場リード講習を受けますが、色々と力不足を実感・・・。
ムーヴLv.0、ジムリード1回目~3回目、岩場リード、と順々に進んでくださっております。

そこまで順調に来たんですが、忙しさやら体調やらで、クラックになってからは少し滞り気味。

今の時期は、もっぱら沢主体みたいですが、講習も続けてくださっております。

ITさん同様、ボルトルートだけでも誰かと登るチャンスが増えれば、もっと理解が進みそうですね。
そして、HKさん。

山スキーからボルダー、そしてクラックと進んだ経歴です。
私と同じく、ちょっとボルトルートは敬遠気味(笑)。

モチベーションは、講習生の中でも上位クラスで、

・普段の自分のクライミングでも、ヘッデン下山常習
・平日ジム通い
・微妙な天気でも決行希望

と3拍子揃っております。

クラックを学びたい気持ちが強いですが、まだまだ基本的なリード技術や終了点作業にも改善点が多いので、岩場リードも並行して受けてもらっております。
そんな訳で・・・

ガイド登山出身、山岳会、個人、という違いもあります。
クラック好き、沢好き、という違いもあります。
ジム苦手、ジムはルート中心、ジムはボルダー中心、という違いもあります。
同じクラックリード講習でも、モチベーションは本当にそれぞれ。

で、今回の皆さん、それも含めて楽しんでくださっているようでした。
刺激にも、なりますしね。
具体的な講習内容
・足場の悪いエリアでの過ごし方いろいろ
・終了点作業に関して、実践的なアドバイスいろいろ
・ハンドジャムのコツいろいろ
・カムセット練習
・オフィズス練習(エリアの都合にて)
・実践リードトライ
ITさん:ネイキッドクラック(5.10aだが、たぶんワイドの5.8が妥当)をO.S.
     カミイルート(5.10b)をフラッシュ

2015年8月21日金曜日

山の知り合いを増やす会

すっかりギリギリになりましたが、来週8月24日(月)が、その日となります。

講習生仲間を増やす意味でも、今後のパートナー探しの意味でも、是非とも御参加ください。
本当にパートナーが重要になるのは、岩場リード講習以降でも、早いうちからの参加も良いものですよ。

では、参加希望の方は、メールにて連絡お願いします。

たまにはムーヴ講習

8月20日(木)は、ムーヴLv.1。
NS夫妻。
岩場リード講習以降、残念ながらムーヴ講習を受ける人は激減します(笑)。
でも、その中で時々は来て欲しいなと、常々思っております。

というのも、リードに重要な安定感というのは、一朝一夕には身に付きません。
で、ムーヴ解決力と比例しないので、3級ボルダラーでも不意落ちが多い人というのは十分ありえます。
逆に、6級ボルダラーでも安定感抜群の人もいます。

初心者のうちから安定感重視だと、ボルダラーとしては大成しないような気もしますが、岩場のリードでは5.8でも安全上の要です。
(ちなみに、3段とか4段とかの上級ボルダラーは安定してますので、ボルダーでも重要ではある様子。)

しかも、岩場リード講習、クラックリード講習、マルチピッチリード講習と進むに従って、求める水準も高くなります。

マルチピッチリード講習卒業生の中には、5.11aが登れない方も何人かおります。
でも、そういう方はグレードに現れないけど、5.10a以下を登らせたら丁寧ですよー。
具体的な講習内容
・保持している側の手主体のバランスが整ってから、反対の手を離す方法(反復しながら、いろいろと話して理解を深める)
・スタンスを確認しながら登る癖付け
・クリップを遅らせて良いか、いつまでにしなければダメかの判断
など

実践本気トライの成果
NS旦那様:5.10b(げげ作、やや難)、テンション混じりでトップアウト
NS奥様:5.10b(巨神兵作、やや簡単)、O.S.

2015年8月20日木曜日

山からの“お仕置き”

8月18日(火)、19日(水)は、自分の山行にて、奥利根の楢俣川流域(至仏山の西面)。
ちょっと楽しくなってきた、1人沢登りにて。
<2~3時間のアプローチ>

今回は、大失敗の数々をやらかしまして、見事に敗退してきました。

あまりに色々あったので、日記風に綴ってみます。

<ならまたダム>

1人で沢登りに行くのは、直前中止が出来る気楽さがあります。
ただ、どうしても準備が雑になるのが、私の悪い癖。

今回も、前日の月曜に、地形図購入しようとするも、例によって近所の本屋には東京近郊のものしかありません。

「今回の沢は、林道から直接入りそうな狩小屋沢だから、間違わないっしょ。」
「沢自体が小規模だから、支流に入っても、ヤブ漕ぎが多めになるだけで、至仏山の山頂付近には出られるっしょ。」

という見込みで、『山と高原地図』だけで入山することに。
<入渓>

んで、遡行図は自宅でチラ見した程度。

「1人でも、ロープ無し通過できそうな滝ばっかだな。」
「アプローチ3時間、遡行時間3~5時間ってとこか。」

という点だけ頭に入れて、遡行図は持たずに出発。

(これは、意図的に。そうした方が楽しいと思うので。)
<小滝を越えて行く>

が、車を置いて林道歩くこと2時間強。
入渓点で、いきなり迷います。

『山と高原地図』では、林道マークだったのが、実際にはラスト30分が荒廃した登山道。
しかも、ヤブ満載で、現在地の特定しにくし。

「1回目に、この踏み跡が渡渉する沢が、目的の狩小屋沢だよね。」
という考えで入渓です。

この時点で、午前11時。
<おだやか>

あとは、予想通りの易しい渓流・・・。

なんだか、地図で予想するよりも支流がやたら水量豊富です。
「尾瀬だから?湿原だから?」

なんて理由づけするも、2時間歩いても、沢が平坦なまま。
「うーん、この辺から等高線が急になって来るハズなんだけど・・・。」

しかも、左右から30分おきくらいにバンバン支流が。
「うーん、もしかして狩小屋沢じゃなくて、楢俣川の本流に来ちゃった?」

とは思うものの、地形図用の規模感覚しかないので、『山と高原地図』だと今一歩判断に自信が持てず。
<雪渓は、少なめ>

「まぁ、多分合ってるでしょう。間違ってても、同ルート下降は出来るし。」
という考えで、5時間ほど遡行して16時。

いよいよ、水流も無くなり、ヤブ漕ぎ突入です。
「いやしかし、結構ハイスピードで5時間歩いてる気がする。だとすると、随分距離感が違うなー。」

ただ、過去にも『上越の谷105ルート』の参考タイムを激辛と感じたこともあるので、
「本格志向の沢屋さんは、強いのかねー。」

と思いながら、水を汲んで稜線を目指します。
「この分じゃ、17時トップアウトかな。
隣のヘイズル沢を下降開始して、18時前に幕営開始かぁ。
1人なのに、ずいぶん遅くまで頑張っちゃってるな。」

とか思いながら進むも、見る間にヤブが濃くなっていきます。
背丈は越え、密度はジャングル的。
進むペースは、胸ラッセルよりも遅いという始末。
<ヤブ、手の甲も腫れ始めて>

さらに、夕方が迫り、ブユの大群が襲来。

私は、体質的にブユに強いのか、刺されても数時間で痒みが引きます。

だから、これまで
「不快だなー。」
くらいの認識で、防虫ネットも持たずに登っていました。

ですが・・・

本日のブユは、立ち止まって休憩しようものなら100匹以上が全身を覆います。
気が狂うほどの痒さで、振り払っても数が多すぎます。
しかも、歩こうにもヤブが濃すぎて、ブユの餌食!!!

気合いで稜線っぽいところまで登るも、嫌な予感通り、登山道はありません。

そうしているうちにも、さらにブユの数は増え、顔は浮腫み、唇は腫れ、思考するために立ち止まることすら許されず。
蜂に襲われて死にゆく熊、が連想されます。
<とりあえず、水流のあるところまで!>

「こりゃダメ!」
と、17時に敗退決定。

「とにかく水流があって、少し開けたところまで。」
と、ブユを避けるように18時までヤブを下降します。

ちょっとした崖でも、ルーファイを考えるために立ち止まろうものなら、ブユの餌食になるのです。
<戦い明けて、朝>

で、ブユに襲われながらも、明るいうちにツエルト設営。

そこから、焚火にトライ。
が、薄暗いヤブで、ブユに襲われながらでは、薪拾いも上手く行かず。

最終的には、薪をガスバーナーで炙って、煙だけでも出します。
そうすると、何故かブユが近づきません。
やっぱ、固形燃料も持ってくるべきでした。

ただ、その見返りに、ガスは無くなります。
夕飯は、非常食のカロリーメイト少々と、インスタント味噌汁の味噌を生でかじる始末。
<着けられなかった焚火>

ただ、夜も更けて来ると、ブユが減って来るのが救いです。

寝ている間は、ヘッドライト最弱にして、自分から離れた場所に置く作戦。
これは上手くいって、寝ている間は無事に刺されず。

良い感じに熟睡できました。
<ブユに襲われながら張った、ツエルト>

朝はブユが少なく、天国です。
朝食は、寝る前にアルファ米を水に漬けておいたので、一応ちゃんと食べられます。

とにかく、今の装備で再びブユに襲われるのが怖いので、起床後50分で出発できちゃいました。
<下降>

水の流れが強くなる中流では、ようやく普段の沢歩き。
行動食の素甘をかじりつつ、のんびり下降です。
<これが狩小屋沢出合のようだ>

下降中に、初めて人(その人も単独)にすれ違い、ちょっと行程について話をば。

狩小屋沢で間違ったのか、入渓時点で間違ったのか、判断できなかったので確認になりました。
どうやら、楢俣川の本流を遡行して、ススケヶ峰の近くの稜線でブユに襲われていたようです。

我ながら、アホっぽい。
沢歩きとしては充実したけど、もし遭難したら遺体捜索に苦労しただろうなぁと。
なんせ、計画書の沢と違うところに居たわけですから。

昼12時に林道に到着し、再び2時間強で車に戻ったのでした。
<再び、ならまたダム>

反省点
・やっぱり、地形図は持とう。アプローチで、林道が『山と高原地図』とチョット違っているだけでも、細かい地形が知りたくなる。
・ブユ対策は、奥利根では命にも関わる。防虫ネットなどの装備だけでなく、ヤブに突入する時間帯も戦略のうち。
・固形燃料も、持とう。焚火は、ブユ対策にもなるので、必死に焚火を求める状況も起こりうる。
・熊よけ鈴、あった方が良さそう。単独だと不安で、声を発しながらヤブ漕ぎする場面多数。
・奥利根のヤブ、恐るべし。トレースが少ない沢に行くときは、それなりの覚悟を。

他にも、猛ヤブで沢タビが破れたり、なかなかハードでした。

今回やった失敗は、なんだか山に“お仕置き”されている気分。
本当に、良い勉強でした。

行動記録
 8:30 出発
11:10 入渓(ヘイズル沢出合より少し上流の、踏み跡が沢を渡渉する地点)
16:00 ヤブ突入
17:00 敗退決定
18:00 幕営開始
21:00 就寝

 5:50 起床
 6:40 出発
12:00 ヘイズル沢出合
14:25 車に到着