2015年4月27日月曜日

マルチピッチコミュニケーション実践編

本日は、山の知り合いを増やす会です!
今からでもドタ参加可能ですので、連絡ください。

4月25日(土)、26日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性ARさん、男性SRさんのペア。
<暖かい>

今回、初日は1度登ったルートということもあって、システムの復習がてら完登。

2日目は、本格的なマルチ入門、大貧民ルートへ!
<良い天気>

結果は、1ピッチ目と2ピッチ目の出だし付近を、

「あっちかな?」
「いや、やっぱりこっちから?」

と彷徨って、敗退でした。
<易しいピッチは、落ち着いてシステム練習>

大貧民ルートは、グレード5.7と付いておりますが、残置支点がほとんど皆無の総合力ルートです。

また、トポを見ずに、ラインを自分で読みながら登る講習なので、こういった右往左往は日常茶飯事。
(小川山の場合、岩塔の裏から回ると1ピッチだけで登れてしまうものが多いため、取り付きだけは指定することが多いです。)
<攻撃的なライン>

<詳しい状況>
取り付きで、2ラインが候補に挙がる

①1ピッチ目が易しそうだが、2ピッチ目が全く見えないライン。
②1ピッチ目が難しそうだが、2ピッチ目以降の可能性が高そうなライン。

これについて、激論20分ほど。

結局、①を選択してSRさんがリードで突破!
<なかなかの高度感>

次に、2ピッチ目の取り付きで、今後の相談。

①岩は硬そうで、難しそうなクラックがあり、登った先もカムでのビレイ点構築になりそうなライン
(立木やピナクルなど、簡単に懸垂敗退できそうな支点は、近くには無い)

②岩茸が生えているが、そこさえ突破すれば、すぐにピナクルがあって少なくとも捨縄で敗退できそうなライン

という選択。
どちらの方が、以降のピッチへの可能性が高いかは、微妙に判断しかねる状況。

2人とも、どちらにも否定的なニュアンスで、とりあえずARさんが①をトライ。
しかし、「難しい。」という判断で敗退。

そこで、懸垂下降してスタート地点に戻り、②を試すことに。
<トップアウト>

で、取り付きからの再スタート。

②案を、ARさんがリードトライ!
が、「難しい。」という判断で、敗退。
<余裕あり>

この時点で、取り付きで12時。
全ライン敗退で、可能性ゼロでしょうか?

いえ、まだ可能性はあるはずです。
<懸垂下降>

例えばの可能性

①ラインを見落としている可能性

②ARさんが敗退したラインでも、SRさんが交代すれば行けた可能性
(身長や体格の差もあって、ARさんが難しいと感じることは十分に有り得る。)

③ARさんが敗退したラインでも、もっと探れば「思ったより簡単だった!」という可能性

④そもそも、試さずに降りて来た岩茸~ピナクルのライン
<元気いっぱい>

こういった可能性を試すのが、ルートファインディングの思考回路です。
<余った時間で、スラブのムーヴ講習>

ただ、今回の場合は、この時点で12時なのでタイムアップ確定!

なんで、
「次に繋がるルートファインディングをしましょう!」

という発想で、再度易しいラインから1ピッチ目を突破。
(ARさんリード)
<2日目は、いよいよ大貧民>

で、2ピッチ目は岩茸~ピナクルのラインを、SRさんリードでトライ。
が、こちらも厳しく敗退。
<SRさんリード>

この時点で、昼2時過ぎ。

最後にARさんが、どちらかをトライという状態でしたが、2人とも集中力切れにて下山決定。
<敗退したライン、その1>

2人とも、グッタリと消耗して下山しました。

もちろん、ルートファインディングの思考回路そのものに不慣れでしたね。
しかし、毎回2人が話し合うたびに、意思疎通が上手く行かずに憔悴したというのも・・・。

2人からは、
「なんだか、話し疲れました。」

という感想も漏れます。
<仕切り直して、1ピッチ目>

これは、もともと持っているディスカッション能力も大事だと思います。

今回に関して言えば、

相手に「なんで、そうした方が良いと思うの?」と意図を質問したら、ちょっとズレた回答をされて会話が進まないという場面が頻出。
<敗退したライン、その2>

また、登山技術という観点では、

「クライミングの共通語を使い慣れていない」
というのも問題点として浮かび上がりました。

SRさんが
斜上バンド → ソフトクリームの筋
と言っていたら、全く通じていませんでした。

ARさんが
「あのスラブのやつは・・・」
と喋るときに、スラブがいっぱいあるので、混乱させるという場面もありました。

他にも、水平クラック、コーナー、ハンドトラバース、アンダーフレーク、ビレイ点、などと使うと分かりやすい用語はいっぱいです。
今後は、積極的に使いましょう。

ちなみに、2人とも、かなり語彙が豊富なので、聞いていて楽しいという側面もありました(笑)。
逆に、上手い言い回しだなと思ったのは・・・

細い岩塔の上にボルダーが乗った形状 → こけし
岩塔の上が水平に広い状態 → テーブル
<再度、易しい1ピッチ目>

また、ARさんに限って言えば、言い間違いが誤解を招くというポイントも浮かび上がりました。
環付きのことをセルフと呼んだり、ロープの色をを「えんじ」と呼ぶ予定を「オレンジ」と呼んだり。

さらに、「あれを、ここに、こうして!」といった指示語が大好きなことも、裏目に出ちゃいましたね。
<敗退したライン、その3>

要するに、
・ルートに関して相談している時間
・ロープワークに関して相談している時間

ミスコミュニケーションの連発で、相手の話を聞く集中力が切れまくり・・・。

そりゃー疲れますよね。
1日、本当にお疲れさまです。

私は隣で聞いていて、自分のクライミングと講習経験から、
「あー、多分こういうことが言いたいんだろうけど、伝わってないねー。」

と、思っておりました。
<下山後も、ラインについて検討を重ねる2人は、さすがのモチベーション>

ディスカッションのスキルは、私の専門外です(笑)。

とはいえ、ルートファインディングの思考回路に慣れて、相手の心情が汲めるようになる日は、案外近いと思います。
また、クライミングの共通語に慣れる日も、遠くはないでしょう。

しぶとく、コツコツやって行きましょう。