2014年11月30日日曜日

ロープワーク練習よもやま話

11月29日(土)は、ロープワーク講習にて、ストーンマジック。

もともと、マルチピッチリード講習予定だった、女性MJさん、女性WNさんペア。
自主練習で越沢に行く予定だったという、女性ARさん、男性HYさんペア。
<コイル巻きに失敗して、三角巾の様相>

ARさん曰く、
「ロープワークは大事だとは思っていたけど、マルチをやるようになって、ようやく大事さが本当によく分かった。」

「ロープが絡んだり、環付きが故障して開かなくなったり、懸垂下降のロープで落石を落としそうになったり、本当に色々ありますもんね。」
<ロープが絡まりやすいシチュエーションで、コイル巻きを利用する練習>

本日の講習は、そんな言葉通りに、今現在マルチピッチリード講習を受けている人ばかり。

卒業認定も2人居ますけど、やればやるほどに重要さが分かるようです。
<懸垂下降の登り返し>

大学山岳部やワンゲルなんかだと、校舎の手すりとかで、日頃から練習して遊んでますもんね。
それでまた、後輩に教えたり、文部省の登山研修に参加したり。

そうやって、自然と反復練習できる機会の少ない社会人なので、しつこく続けていただければと思います。

ただし・・・
私の場合、学生時代、かなりの期間を古い方法に固執してしまった部分もあります。
最初に先輩から習った方法が古いと、なかなか更新されないのが、そのシステムの問題点。

その点、社会人は必ずしも不利じゃないと思います。
<垂壁で、実際に登り返し>

ちなみに、私自身の情報のアップデートなんですが、結構な部分が人づてです。

例えば、一番勉強になるのは、講習生からの質問。
「こういう方法もあるって聞くんですが、どうですか?」

大抵の質問は、知っている方法なんですが、知らないケースもあります。
<HYさんも、さすがに手慣れてきた登り返し>

ただ、大抵の方法は、知っている技の組み合わせだったりするので、一応の善し悪し(メリット・デメリット)を判断します。

それから、それについて念のために裏付け調査。

ネットで軽く調べることもあります。
ただ、自分と同レベル以上のクライミング友達に、自分と同意見かを尋ねるのが、一番効果を感じます。
<スタンスの少ない壁は、なかなか練習に良い>

この方法は、私の友達の中に、プロガイドとか、上級レベルのクライマーが何人かいるから成り立っているのかなと。

初心者、初級者の場合は、やっぱり

①技術書
②実体験
③仲間とのディスカッション
④講習会で裏付け

ってあたりを、どうやって組み合わせていくかが大事になると思います。
<脇の締まった男>

ちなみに、僕の学生時代は・・・

①読んだ本が古かった(△)
②沢登りや、校舎の手すりで、結構いっぱい出来た(○)
③後輩に教えたりする中で、上級生同士でボチボチやっていた(△)
④登山研修に参加したのは、2年、3年次に1回ずつだけ(△)

我ながら、イマイチな練習でしたねー(笑)。

そんなんで、よくガイドになんかなろうと思ったもんです。
その後、5年くらい掛かる訳ですが。
<フィンガージャムに圧力を掛ける練習>

講習生の皆さんは、お金を払っている分だけ、時間を有効活用してくださいませ。

思いつくままに、ロープワークに関する雑談でした。
<今月、ずいぶん沢山お会いしたARさん>

具体的な講習内容
・ロープの畳み方の洗練
(通常の肩で畳む方法、手で畳む方法、手でのコイル巻き、肩でのコイル巻き)

・懸垂下降で、肩コイルを使う方法
・懸垂下降と登り返しの切り替え練習
・ムンターヒッチと仮固定(HYさん、WNさん)
・リードのビレイからの脱出(HYさん)

・保持したいホールドの方を向くことで、体幹を入れやすくする方法
・ホールドに手を馴染ませる(MJさん)
・レストしている側の肩を脱力する(ARさん)
・フィンガージャムに圧力を掛け続ける

2014年11月29日土曜日

ジムリードは、ボルダラーが一番教えやすく感じる

11月28日(金)は、リード講習6時間コース。

名古屋のSY夫妻が、前回に続いて2回目。
前日から連続で、女性HMさん。
ジムリード講習は、クライミング講習の中では一番カリキュラム化されたものです。

1回目はここまで教えて、2回目でここまで、3回目は最低でもここまで、出来ればこの辺も。
という感じで、私の中で決めています。

対極にあるのが、マルチピッチリード講習、ムーヴ講習、ロープワーク講習などで、教えることに終わりが見えないくらい。
とにかく、その人に応じてアドバイスしていく流れです。
とはいえ、本日の2人は6時間コース×2回で、割合順調な2人。

経験者ばかりが集まったクール並みに、詳しく講習をやりました。

例)
・スポットの実験
・しゃがみビレイ、立ちビレイの比較検討
・1本目、2本目でのフォール
・実践本気トライ

などなど。
毎度のように思うんですが、

「ボルダラーは、一番ジムリードが教えやすい!」

やっぱり、

・クライミングを、スポーツとして取り組むことに慣れている
・その一方で、講習を受けに来るだけの安全意識もある
・フォールに対する抵抗も少ない
・ムーヴ予測能力があるので、ビレイの弛ませ方、クリップしそうなポイント、などへの予測がしやすく、ビレイが上手くなりやすい
とはいえ、当塾に来る半分以上は、山屋さん。

「山のために、クライミングが必要だと思って。」
という意識がスタートだと、上記の能力に至るのに時間も掛かります。

(SY夫妻なんかは、2年間ボルダーをやってからのリードデビュー。)

山は、スポーツっぽくないですし。
今までの習慣が変えられず、苦労する方も多いです。

でも、マルチピッチリード講習から先は、山屋さんが強い世界かと思います。
判断するという場面が、雨あられですから。

育った畑は違えども、レールは同じですので、頑張って参りましょう。

2014年11月27日木曜日

ラスト湯川

11月27日(木)は、クラックリード講習にて、湯川。
女性HMさん、男性ONさん。
<朝イチから、暖かい!>

クラックリード講習は、12月から3月の間、城ヶ崎のフナムシロックにて行います。

城ヶ崎のクラックは、湯川に比べて、易しく短いです。
<貸切>

グレード:
湯川が5.8~5.9がメインなのに対して、城ヶ崎は5.4~5.8がメイン。

長さ:
湯川が十数メートルが主体、城ヶ崎が7~8mが主体。
<ボルダーにて、ジャミング練習を兼ねた、ムーヴ講習>

参加条件ギリギリの人は、城ヶ崎シーズンの方がオススメです。
(ボルトルートの5.9オンサイト)

そこで、ジャミングやカムに親しむのが、スモールステップというもの!
<乾燥した季節>

そう言えば、よくジムリード講習の方などに、
「冬でも、クライミングなんて出来るんですか?」

と聞かれます。

伊豆方面は、かなり暖かいですよ。

個人的体感としては、伊豆の2月は、東京の11月です。

昼間なんぞ、手が汗でヌメルほどです。
だからこそ、冬の岩場という訳で。
<カムセット練習>

名残惜しむようですが、私は湯川の方が好きです(笑)。

・海より、山に近いせいか、雰囲気が少し好きです。
(小川山・ミズガキには、劣りますが)

・ジャミングの種類も、ハンドだけでなく、フィンガー、フィスト、サムカムと多彩。

・そもそも、八王子在住なので、湯川は割と近い。
<段々と、リードでも焦らなくなってきたHMさん>

でも、クラックリード講習生にとって、その恩恵は必ずしも大事じゃないと・・・。

スモールステップを求めて、
「いざ城ヶ崎」

といった気持ちです。
<2トライ目は、カムで落ちまくり(笑)>

具体的な講習内容
・ハンドジャム練習(なるべく脱力して、力よりも形状で止める)
・全身を使って引き付ける(ジャミングが抜けないように、圧力を維持する)
・安定してから1手出す練習
・足を移動させにくいときの選択肢(反動、プッシュ、寄せて上げて)
・地上でのカムセット練習
・実践リードトライ
HMさん:デゲンナーを2トライして、どちらもトップアウト

・トップロープ練習
ONさん:デゲンナーを2トライして、どちらもトップアウト
<ONさんは、タイトハンドが少し分かった様子>

ただ、今日の湯川は暖かすぎて、ダウン要らず。
晴れていれば、真冬でも登れるという話ですからね。

2014年11月26日水曜日

危うい場面3つ

11月24日(月)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
女性ARさん、男性HYさんの2名。
本日は、私も含めて3人ともに危うい場面がありました。

マルチピッチをやらない人には、とても分かりにくい内容ですが・・・。

時系列順に。

①ARさん
リード中に、テスティングで、カムが抜けるという場面。

このとき、ノーハンドで立てるくらいのスタンスだったこともあり、もう一方の手でホールドを持っていなかった。

カムが抜けた瞬間、身体が一瞬はがされそうになる。

もしも、落ちていたら大怪我する可能性90%くらい。
背景:

ARさんは、ハーケンの回収などでも、同様にはがされそうになる場面が多い。
回収の場面はフォローなので、大きな問題にはならないが。

この手のパターンに、気を付けましょう。
<快適なピッチ>

②HYさん
リード中に、ランナウトした状態で、クライムダウンできない(無理にすると、落ちそうな)状況に追い込まれてしまった。

そこから3メートル先の立木まで、思い切ってランナウトして突破。
Ⅴ級(5.8)程度とは言え、かなり冷や冷や。

落ちていたら、大怪我する可能性大。
背景:

普段は、ちょっとしたランナウトも恐れるHYさん。

ただ、今回は心理的に突っ込みたくなる要素があった。

・ここ3回ほどの越沢通いで、
「突っ込むと、意外とホールドが出てきたり、意外とカムが効いたりすることが多い。」

ということに慣れていた。

・また、懸垂下降中にラインを確認していたことで、
「簡単そう。」

というイメージ先行になっていた。
<核心部は、ARさんが突破>

③私
連続懸垂下降の最中、立木でセルフビレイを取る場面。

トップで降りたHYさんが掛けたスリングに、自分のセルフを取るというだけのシーンで、通し間違い


もし、そのまま気づかずに、HYさんがセルフを外していたら、私は地上15mからグランドフォールしていた。
たぶん、死んでいたミス。

セルフビレイを掛けた1分後くらいに、自分で気づき、すぐに修正。
<「悪いじゃないですかー!?」>

背景:

ちょうどその場面で、他にもチェックしたいことが複数あった。

立木の強度、HYさんのセルフビレイの取り方、連続懸垂下降の効率化する手順、など。

一番ミスが少なそう自分のセルフビレイに関して、チェックがおろそかになった。
<「そお?」>

どのミスも、やってはいけないのは当然分かっています。

でも、ふとした隙にミスは訪れます。

特に、私のセルフビレイの取り違いは、重大なヒヤリハット。

HYさんなど、
「石田さんのお蔭で、もの凄い勉強になりました。」

という感想(笑)。
<1本目のトップアウト>

この3つのミスから、どうやって反省すべきか?

いくつかの反省方法が浮かびますので、皆さんも考えてみてください。
<懸案のテスティング場面>

さて、本日のクライミングに話を戻すと。

2人で協力して、見事に1ラインをオンサイト!

「もしも、ルート名を付けるとしたら?」
という問いには

“小悪魔チムニー”

ということに。
<複雑な表情>

時間に余裕があったので、途中まで懸垂下降して、別ラインを2ピッチ登ることに。

そこで、1ピッチ目のARさん、2ピッチ目のHYさんで、上記の事件が・・・。

2ピッチ目は、オンサイトだったため、

もしもルート名を付けるとしたら
“恐怖の滑り台”

という回答でした。
<恐怖の滑り台>

ARさん、HYさんは、だいぶ越沢に詳しくなりましたねー。 
<「なんで、こんな悪いとこ行くのー!?」>

<「生きてて良かった。」>

2014年11月25日火曜日

完登よりも安全を優先する判断

11月23日(日)は、岩場リード講習にて、天王岩。
男性NSさん、男性NMGさんの2名。

写真のデータが消えてしまったようで、楽しみにしていたら本当に申し訳ありません。
そして、文章だけだと読むのが疲れますよね。


本日の講習中、ロープを足に絡ませないことについて、実践的なアドバイスを行いました。

ロープを足に絡ませないこと自体は、ジムリード講習の内容。
ただ、ボルトが足元になると、気づいたらムーヴ中に絡んでいたという経験があると思います。

これは、マルチピッチリード講習を受けているような人でさえ、注意することが多い内容です。

それに対して、実際に私がリードして見せて、
「こういう位置関係だと、立ち上がると絡みますよね。」

という具合。


で、一応は理解できた段階で、

NMGさん)
「いっぱいいっぱいになると、忘れちゃいそうですね。」

私)
「私の場合、きわどい場面こそ、完登よりも、絡まないことを優先して考えてますよ。絡むぐらいなら、完登を諦めますよ。」

NMGさん)
「なるほどねー。うーん、なるほどねー。そうかー。」

と、妙に納得したようでした。

リードの本気トライで、
「落ちるまで頑張れ!」
というのは、あくまで安全だと確信しているときの話。

・手繰り落ちしそうなら、ジムでもテンションします。
・危険なランナウトをしているときに、落ちそうなら、クライムダウンして安全圏へと戻ります。
・クラックでも、プロテクションに自信が持てないなら、完登を諦めて安全策を取ります。

これは、リードを行う上での基本的な考え方だと思います。

登山においても、時間管理や天候判断で、全く同じです。

だからこそ、判断力を培うために、限界グレードこそリードで取り組める力を付けましょう。
というのが、当塾の方針。


“諦める判断”
というのは、スポートクライミングとして見れば微妙です。
(例えばコンペ。クリップが悪くて、選手がテンションコールしたら、競技っぽくないでしょ。)

でも、講習で目指すマルチピッチリード講習までの道のりとしては、最初のステップに適していると思っています。

2014年11月23日日曜日

卒業通達のジレンマ

11月22日(土)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
男性Hさん、前日から連チャンの男性IKさん。
<アプローチの橋>

本日にて、Hさんはマルチピッチリード講習を卒業といたしました。

評価としては
・登攀力、ルートファインディング、敗退判断など、リード技術そのものは良い感じ
先日、クラックの5.10bをオンサイトしただけのことは、ありますね。

・ロープワークは、最低限が出来ているくらい。
ただ、前回も指摘した通り、パパっと手を動かしてしまって、作業が混乱することも多い。
<いきなり渾身のIKさん>

登攀力も手際もあって、かなり登る力はあります。
目標にしているスーパーレインでさえ、この冬中にオンサイト出来る可能性もあるでしょう。

で、「それは危ない!」と私が指摘したことに対する、理解も出来ています。
だから、基礎の部分では分かっていると思います。
<Hさんは、快調にロープを伸ばす>

ただ、現状の問題点として、ちょっとしたイレギュラー対応が見ていてハラハラするタイプ。

マルチピッチ中は、実に色々なイレギュラー対応を迫られます。

・ビレイ点を10mだけ移動
・歩きと懸垂を交えて下降する
・途中でリードを交代する
・ロープの末端が分からなくなった
・荷揚げ

こういうとき、手間が掛かっても確実な方法を取ってほしいというのが、私の初心者に対する願いです。
省略形は、徐々にやらないと危ないですよ!

(その点、MJさん、WNさんの2名は、イレギュラー対応を講習で実践している回数も多いので、見ていて安心。)
<マルチっぽい雰囲気>

この点は前回も指摘したのですが、
「意識して改善しているのは、伝わって来ますね。」

という感じで、まだ甘いです。

だから、卒業にするかは結構思案しました。

結局、本日の反省点を本人に聞いて、的を得ていたので卒業決定。

「きっと、次回から良くなるでしょう!」
という願いを込めて。
<「そんなに容易くない!」>

これは、Hさんの例でしたが、卒業を言い渡すのは常に悩ましいです。

特に、マルチピッチリード講習は、全く悩まなかったなんて、0人です。
<3P目は、IKさん>

私の中で、卒業リーチかなと思った人には、下山中ひたすら頭の中でループする思考。

「そろそろ、おおよそのリスク判断が分かってきたから、自力で行って欲しい頃かな。」

「ここで卒業にすると、今気になる悪い癖が一生治らないかもしれないな。で、それが危なっかしいクライマーを生まなきゃ良いんだけど。」

「いや、でも下山中に反省を聞いて、確認してみよう。」

「もう1回受けてもらえば、本当に良くなったかを確認できるなぁ。」

「安全パイで、もう1回、2回にしても、他の作業も洗練させられる分、後々プラスになるとは思うんだけど。」
本当は、教えたいことは山ほど残っています。

それをどこで一旦のゴールとするか、という問題。
実際、マルチピッチリード講習後は、受講頻度も落ちますからね。

だから、卒業させた後にきちんと登れているかは、本人や周りに聞いて回ってしまうこともあります。
<空への一歩>

マルチピッチなら、
・納得いくスタイルで登れているか?
・危なっかしくはないか?

岩場リード、クラックリードなら、
・リードでトライできているか?
・危なっかしくはないか?
<このピッチのフォローは、Hさんでも結構大変そう>

卒業してもなお、いや卒業させてこそ、乗りかかった船だらけになるものですね。

これを書いているだけでも、苦しくなってきました(笑)。
<アニキより、アニキっぽいHさん>

話は、本日に戻り・・・

素晴らしい、オンサイトクライミングでした!

Hさんのスピードと安定感、そしてIKさんの炎のリード。
見事に初登攀ごっこを成功させて、大満足。

「ルート名を付けるとしたら?」
という問いには

“ときめきフレーク”

という回答。
<ロープワークは、まだまだ必死>

しかも、力が余ったHさんは、午後からオールリードでもう1本を完登・・・。

これは、終了間際に、
「あ、ここは体験講習で来たラインだな。」

と気づきましたが、実質オンサイトでしたね。

残置無視・トポ無視で2本登るスピードは、講習生としては相当なものです。
なんせ、登りそのものが余裕そう。
<2本目へスタート>

1本目で核心をリードしたIKさんは、もはや出し切った感たっぷり。

午後は、フォローに終始しましたが、苦手なシステム系の練習にもなったと思います。
<2P目も、Hさん>

最高のクライミングがしてもらえて、私も楽しい1日でした。
<最終ピッチ>

2014年11月22日土曜日

マルチピッチコミュニケーション

11月21日(金)は、マルチピッチリード講習にて、二子山。
男性IKさん、男性SRさん。
以前、残雪期の宝剣岳で講習を行った際に、パーティー内での話し合いが上手くいかなかったことを書いたと思います。

そのときは、お互いの意見が違って、それぞれが理由も述べていました。
ただ、お互いに悪い雰囲気を恐れているのか、議論にならずに言いっぱなし。

誰も、話をまとめようとしないので、結局バラバラの行動を取るという最悪の結果に。
<中央稜ではなく、本人たちが希望した凹角へと登攀開始>

今回も、似たようなことが起こりました。

宝剣のときとは逆で、簡単に折れ過ぎてしまったり、意見を控え過ぎてしまう状況です。

近いレベルのパートナーなのに、1人で何でも決めなきゃいけない状況だから、妙にやりづらい・・・。
アプローチ、ライン取り、安全管理の全てにおいて。

リードは個人プレイっぽくても、マルチそのものは合議制です。
また、今回は時間切れ敗退でした。

この際、登れない残念さや反省などの複雑な思いが交錯して、気持ちが若干フリーズ状態に。

こうなると、下降の相談をしていても、生返事っぽくて良くない態度になっちゃいます。
<1P目は、デジャブ気味>

本来なら、この悔しい気持ちは、安全圏に降りるまで一旦忘れようと努力するべきだと思います。

敗退のための下降も、リスクが伴いますから。

(特に、今回はヘッデンでの敗退となり、初心者の2人には厳しい状況でした。)
<2P目>

で、私個人の経験として・・・

パートナーが敗退下降中に露骨に悔しそうなのは、やりづらいことも多いんです。

特に、私よりパートナーが強いときなんか、「自分のせいで申し訳ない。」という気持ちもありますから余計です。

もちろん、私のせいで登れなかったこともあれば、パーティーとしての総合力として登れなかったこともあります。
<中央稜より難しかった3P目>

ただ、普通に良い人なら、

・明るく悔しがる
・悔しさを必死で隠す
・「次に活かそう!」と切り替えの話をする

といった気遣いをするでしょう。

今回は、敗退処女みたいなものなので、全然ダメでしたが。
<クラックを繋ぐ見事なライン取り>

で、そうやって気遣っても、バレてしまうものですよねー。
登りたいものの直前で敗退した、“わだかまり”ってやつは。

今回は、頂上直下の緩傾斜に入りそうな雰囲気が、目の前でした!
<3P目のフォロー>

よく、マルチピッチの講習中に

「どんな組み合わせが、理想的なパートナーなんですか?」
と聞かれます。

それは、
・負けず嫌い同士だと、良くなさそう
・リーダータイプ同士だと、良くなさそう
・男女ペアだと、良さそう

といった経験則をもとに、私に質問してくる訳ですね。
<中央稜に合流後>

これに対しては、

「どんな組み合わせが、良い夫婦になるかと同じで、仮説しか言えませんよ。」
と回答しています。

私の場合、マルチピッチや登山のパートナーは、クライミング能力と同じくらい、性格重視!
<システム系に強いSRさん>

ただ、共同行為になる場面、相手を不快にさせやすい場面ってのは、結構決まってくるかと思います。
敗退判断なんか、典型的ですねー。

だから、ベテランクライマーの方々は、そのときはコミュニケーションスキルを抜群に発動させているように見えます。
いわゆる良い人じゃなくても、経験が長い人同士ならある程度は合わせられる訳で。
<ラインに迷う>

もしかして、
“マルチピッチの場面ごとに、相手が考えていそうな内容を予測しながら、お互いやりやすい雰囲気を作る”

というのは、もはや登山技術の1つなのか!?
<敗退を決める直前>

そんな考えに至り、最近は講習でもパートナーシップについて言及することが多くなりました。

ま、ややもすれば人格否定っぽく聞こえるので、嫌な人には嫌な話でしょう。
でも、やっぱり大事だなぁと思う日々です。

何卒、我慢してくださいませ。
<懸垂下降開始>

<19時に車に戻れました>