2014年10月5日日曜日

弱点ライン、攻撃的なライン

10月3日(土)は、マルチピッチリード講習にて、三ツ峠。
久々のYZ奥様、そして女性SGさん。
<朝の富士山>

マルチピッチリード講習では、どこを登っても、トップアウトできればO.K.です。

とはいえ、おおむねスタート地点を決めれば、大体は同じようなライン取りになります。
<ハーケン打ちの練習>

というのは、まず登りやすいラインを選ぶのが、原則だからです。

・プロテクションが取りやすい
・ムーヴが簡単そう
・傾斜が緩かったり、凹角になっていたり、パンプしなさそう

って感じのラインが、第一候補。

昔から“、岩の弱点”なんて言いますね。

要するに、トップアウトするために、一番合理的なラインです。
<オブザベタイム>

ですが、こんな場合も・・・

岩の右端まで行けば、ヤブ混じりだけど、傾斜も寝ていて簡単に登れそう。
岩の中央を登れば、難しそうだけど、クラックもあってプロテクションは良さそう。

こんなとき、合理的なのは右端です。
<1ピッチ目のSGさん>

でも、

「ヤブ混じりは、なんかクライミングじゃないしなー。」
「せっかくだから、綺麗なラインで登りたいなー。」

という気持ちで、中央を選ぶことも多いです。
<2ピッチ目のYZ奥様、ここで敗退>

合理性って意味では、第2案、第3案になるだろうラインが、

「綺麗!」
「カッコイイ!」
「1ピッチとして登っても、面白いくらいじゃないの!?」

という理由で、第1案に浮上してくる訳です。

これを、攻撃的なライン、なんて表現します。
<リード交代したSGさんが、見事に突破!>

これを読んで、
「私は、絶対に“弱点ライン”」

なんて思うクライマーも、実は怪しいもんです(笑)。
まず、バリエーションルートそのものが、登山道やヤブっぽい尾根に比べたら、攻撃的なラインです。

前穂北尾根を登らなくたって、前穂の山頂には立てるんですから。
<本当に、良い天気>

沢登りだって、弱点ラインだけを突いたら、奥多摩なんかじゃ高巻きばっかりでしょう。

相当クライミングが苦手な沢屋さんでも、
「このくらいのナメ滝なら、楽しく登れそう。」

と思ったら、水線の近くの、岩が硬くて、藪の少ないラインを選んでいると感じます。
<3ピッチ目。YZ奥様の、渾身の2時間リードで45mの花形ピッチを突破!>

つまり、攻撃的なラインってのは、その人のクライミング能力によって変わってきます。

自分にとって面白いぐらいのピッチを登って、頂上を目指したいというクライマーの性?
<「よく行ったねー。」と、感心しながらフォローする、私とSG姐さん>

さて、SGさんは、かなり攻撃的なライン好み。

性格もあるかもしれませんが、マルチピッチリード講習生の中では、少しクライミング能力が高い方だからかなと思います。
ただ、この日は攻めすぎて、失敗!

・プロテクションの取れないラインで、行きつ戻りつのムーヴ探りに、時間を掛け過ぎ

→別ラインが見えていたので、そのラインは切り捨てても良かった。
<姐さんの、攻めすぎピッチ!>

・ボロ壁のクラックに突っ込んでしまい、落石リスク、ロープがエッジに擦れるリスク、フォローのYZ奥様が大苦戦などの諸問題を、図らずもに引き受けてしまった。

→右に、ヤブっぽい弱点ラインがあった。
ボロ壁の場合、攻撃的なラインを攻めても、そこまで楽しくない割に、リスクだけが上がるので、要注意。
<色々あって、山頂到着はヘッデンでした>

その一方、SGさんは、前回のHさんとの講習では、攻撃的なラインを攻めまくって大充実のクライミングでした。

だから、攻めるべきか否かの判断が、前回+今回でだいぶ付いたんじゃないかと思いますよ。

攻めると楽しくなるとき、攻めても苦労やリスクが増えるばっかりのとき。

また、前回の問題点も、かなりの程度まで改善されていたので、SGさんはマルチピッチリード講習を卒業としました。
結構な突破力はありますので、小川山や三ツ峠でマルチ練習を積んで、来シーズンは本チャンにも挑んでくださいませ。