2014年6月27日金曜日

なるべく技術のせいにする、という習慣

6月26日(木)は、岩場リード講習にて、天王岩。
女性SGさん、女性HSさんの2名。
<曇りで大気不安定、という微妙な予報ながら、希望者で決行>

あるムーヴが出来ないとき、多くの場合、本人には原因がよく分かりません。

初心者の場合、とてつもなく腕が疲れたりするので、
「筋力が足りないんだよ。」

と、理由づけしたくなります。

本日のSGさんも、そんな感じでした。
<取り付きにて、ムーヴ講習を少し>

その一方で、2回、3回とテンション掛けつつ試みると、意外と出来ちゃったりします。

2回目、3回目となれば疲労しているはずなのにナゼ?
<リードで、まずは落ちる練習>

これは、ムーヴが何かしら上手く行った証拠です。

2回目より、3回目の方が、筋力が付いた訳では無いんです(笑)。
<クラックジョイ(5.9)>

で、そういうことは、日常茶飯事。

だから、出来ないムーヴに対面したときは、
パワー不足でなく、技術不足を疑った方が、成長します。
<テンション掛け掛けのトライ>

でも、パワー不足にしたくなる気持ち、よくよく分かります。

だって、パワーはあるけど技術がない、って何だか格好悪いイメージじゃないですか!?

(本当は、「素晴らしく、伸びしろがある!」っていう解釈もできます・・・)

だけど、
「自分が、何かが、ちょっと下手なだけだ。」

と思えば、2トライ、3トライと繰り返して進歩を狙えますよ。
<終了点の仕組みを講習中>

ちなみに、クライミングにパワーが重要であることは、否定しようがありません。

ただ、5.10~5.11くらいの初級者であれば、技術の方が重要なことが多いです。
<同ルートを、HSさんもトライ>

だから、講習生の方々のレベルであれば・・・

・技術を意識しつつ、ジムや岩場で、周りのクライマーより沢山登る。
・食事、睡眠、休養などをしっかり取る。

というで、ちょっとずつパワーが付けば、とりあえず十分だと思いますよ。
<3トライ目で、2人ともトップアウトに成功!>

具体的な講習内容
・指の脱力(ホールドに、手の皮を馴染ませる)
・ネコ足(足指をスタンスに馴染ませる)
・態勢を安定させるまで、手を出さないこと
・リードで落ちる練習
・ヌンチャクの長さの種類
・ロープを足に絡ませやすいパターン
・テンション掛け掛けトップアウトするぐらいの難易度に、トライ
・終了点の仕組み(流動分散、固定分散、独立分散)
<だいぶ疲れたようなので、明るいうちに終了>

2014年6月26日木曜日

手繰り落ちは、ダメ

6月25日(水)は、夕方にリード3回目。
男性HKさん。

夜に、リード2回目。
女性KRさん、男性NHさん。
「手繰り落ちは、ロープが緩んだ状態で落ちるので、余計に落ちて危ない。」

とは、皆さん御存じ。

高さ5メートルぐらいだと、グランドフォールも珍しくありません。

ですが、グレードが上がるほど、クリップ態勢も悪くなります。
さらに、パンプした状態で頑張るわけなので、本気トライほどリスクも避けられません。

「じゃあ、クライマーは、どうやって危機回避しているんでしょう?」
と、聞いたら、

「うーん」
となる講習生も、結構多いです。
答えは単純で、
「手繰り落ちのリスクが高そうな安定度だったら、クリップを諦めて、フォールorテンションorA0クリップする。」

ちなみに、私自身の経験を、参考例に。

①本気トライ中のフォール回数
小さいものを含めれば、少なくとも1,000回以上

②手繰り落ち
0回

③クリップ中の危ういスリップ(手繰り落ち未遂)
1回

④ギリギリで、クリップした瞬間に力尽きるようなフォール(テンションコールや、ロープを掴む余裕すら無いパターン。ヒヤリハットのレベル?)
10回以上

ちなみに、個人的には絶対にグランドフォールしない高度でも、なるべく手繰り落ちはしない方が良いと思います。
クリップする手が、カラビナに挟まって、指を大怪我しそうなので。

もっと厳しい先輩は、
「手繰り落ちするぐらいなら、クライミング辞めた方が良い。」
とまで言っていました。

イメージは、ほとんど登山中の事故ですねー。


具体的な講習内容
・いつもと同じなので割愛

HKさんは、ジムのリード講習は卒業です。

2014年6月24日火曜日

ヤル気の初心者は、続々と現れる

6月24日(火)は、昼間にムーヴ講習Lv.0。
男性NTさん、男性SGさんの2名。
2人とも、登山は独学でこれまでやってきた方々。

で、バリエーションなどに興味があって、クライミングを始めたということですが、かなりヤル気があります。

1人でボルダリングやオートビレイをやりに、毎週1回以上はジムに通っているようです。
(まだ、クライミング友達は、ほぼゼロ)

1人でもジムに通えるぐらいだと、これから先の長いロープクライミング技術習得の道も、きっと楽しくやれますね。
世の中には、バリエーションやりたい人がそんなに多いんでしょうか?

それとも、モチベーションの高い初心者が、当塾に集まっているのでしょうか?

この日の夜も、無料体験で9名がいらっしゃいました。
皆さん、練習方法の説明にも、興味津々でした。

ただ、9名はさすがに安全管理も、個別指導も難しかったです。
ジムの場所も、かなり占領してしまうし。

8月以降は、無料体験も上限6名にいたします。
(通常のジム講習は、上限4名)

レベル別、ロープワーク講習

6月22日(日)は、ストーンマジックにてロープワーク講習。

前日に沢での研修登山を行った、男性HYさん、男性ONさん。
以前、ムーヴ講習を1度受けたことのある女性UDさん。
本日は、レベル別に全く違う講習内容でした。

UDさんは、ジムでリードもしているくらいの経験値。

私からは、
「(いきなり岩場の講習ではなくて、)ジムのリード講習から、受けた方が良いですよ。」

と、オススメしている状態。
<なんでも丁寧な動きのUDさん>

そこで、今回はイレギュラーながら、リード講習1回目の内容を取り入れました。

具体的には、クリップの手の動き、ATCを落とさない方法。

これに加えて、ロープの畳み方、終了点作業を洗練させる練習。

ごくごく基礎的な内容ですが、土台が大事だと思います。
<応用問題を解く2人>

一方で、沢帰りの2人には、応用技術やトラブル対処。

・ロープの畳み方
手で畳む方法、コイル巻き

・終了点作業で、ヌンチャクやスリングが足りないパターン

・沢で、奥まったところに立木があり、フォローの姿を目視してビレイしたい場合

・懸垂下降の登り返しを洗練
<休憩時間を利用して、ジャミングするONさん>

おおむね、ハイレベルな内容です。

けれど、登り返しが意外と忘れていたのだけは、ちょっと残念。
これなら、もう一人のONさんの方が効率的かも?

でも、何でも一通りこなすのは、それだけでも難しいんですね。
<意外と手間取る、登り返し>

2014年6月23日月曜日

マルチ卒業組は、登山へと進出

6月21日(土)は、奥秩父の竜喰谷にて、研修登山。
男性ONさん、男性HYさんのペア。

ONさんは、初めての沢登り。
HYさんも、2回目。
<入渓>

1つ前の記事の通り・・・

当塾では、マルチピッチリード以前に、クラックリード講習があります。

そして、その先に
・沢登り
・冬のバリエーション

といったことを、目指してもらおうと考えています。
<ロープなしで登る程度の滝も、結構な緊張>

だから、マルチピッチリード講習を卒業した段階では、登山経験の方は手薄になります。

でも、卒業生の方々は、自分たちで

・剱岳源治郎尾根
・赤岳真教寺尾根(冬期)
・甲斐駒ケ岳黒戸尾根(冬期)
・錫杖、左方カンテ
・海金剛スーパーレイン

などの入門ルートを、着々と登っておられる様子。
<梅雨の晴れ間>

その一方、研修登山や雪上訓練Lv.3でも、何度か講習を行っております。

・奥秩父のヌク沢(昨年夏、HYさん、NMさん)
・谷川岳西黒尾根(昨年末、HYさん、NMさん、ONさん)
・赤岳県界尾根(今年の初め、HYさん、NMさん)
・宝剣岳縦走(今年の4月、HYさん、NMさん、ONさん)

そして、今回。
<ちょっとした滝の突破>

前回までは、
「クライミングのリード技術は良い感じだけど、登山の手際・判断は、まだまだだなぁ。」

というのが、正直な感想。
<本日のメインディッシュ>

ただ、今回は結構良かったです。

判断、手際、細かい安全面、どれも合格点。

「よしよし、ちゃんと出来るんだな。そこらの山岳会の2年目、3年目にも、劣らない登山技術かな。」
と思って安心しました。
<HYさんが、落ち着いてリードしてくれます>

とはいえ、初めての沢登りということで、課題も山積。

・ゴーロ歩き
・寒さに対する判断

もちろん、ルートファインディングやロープワークの時間でさえ、手際を良くすれば1時間以上は短縮できたでしょう。
<ノーロープで突破する程度の滝が、しょっちゅう出て来ます>

私も、嬉しく思って、

「山でも、結構できるようになったじゃないですかー。」

と、言いました。
<小滝のマントル>

すると、HYさんから、

「雪山とか沢とかは、手際とか色々なことの重要さを知る場面。
(案外)手際が良くなったのは、ロープワーク講習かな。」

と言っていただけました。
<ちょっとしたゴルジュ突破するONさん>

まぁ、それは置いておくにしても。

マルチピッチリード卒業組が、総合力を付けてくださり、私も嬉しいですよ。
<先週、ARさんに読図を教わってきたという、HYさん>

<登山道に出て、遡行完了>

<明るい時間に、下山できました!>

2014年6月22日日曜日

クラックリード講習は、リード中の判断講習

6月20日(金)は、湯川にてクラックリード講習。
男性Sさん、男性IKさん、女性IMさん、補習で女性ARさん。
<ジャミング練習とムーヴ練習を兼ねた、2人1組のトレーニング>

マルチピッチやアルパインに、フリークライミングの技術や考え方が重要な理由。

もう、そんなの数え上げたら、きりがありません。
<ジャミングで、ボルダー練習>

なかでも、当塾ではクラックのリード能力を、

山でのクライミングを目指す上で、もっとも重視しています。
<ボルダー練習も、上手くなってきたIMさん>

・プロテクションが効いているかどうか、という判断。

・落ちそうなら、必ずプロテクションを取る、という大原則。

・敗退、テンション掛け掛けのトップアウト、などを含めた判断。

・易しいセクションでのランナウト、という判断。
<カムセットは、ARさんが先生的な立ち位置>

そういったこと全て、クラックをやることによって分かってきます。
<ARさん、デゲンナー4日目のトライ>

もちろん、マルチ、沢、アルパインでも出てくるから、それを学ぶんです。

でも・・・

1ピッチだからこそ、真剣に考える
実際に落ちちゃうくらいのグレードだからこそ、真剣に考える

という要素なくして、本当のプロテクション戦略は身に付かないと思います。
<IMさん、台湾坊主をR.P.して、クラックリード講習は卒業!>

さらに、プロテクション戦略には、心理的な要素もあります。

なんだか異常に怖くなったり、チョット危ない場面で恐怖心がマヒしてしまったり。

そういう場面を越えながら、
「現実的リスクと感覚的リスクの差が起こしやすい」

自分という人格を理解していく・・・。
<ARさん、デゲンナーの本日2便目、通産11便目>

逆に言えば、クラックをやらずに山でのクライミングを行うと、

感覚的リスクにだけ従って戦略を立てて行くことになります。

だから、それは危なっかしいので、当塾では認めていません。
<ついに、R.P.!!!>

クラックリード講習は、判断そのものの講習であるように感じています。

もちろん、ジャミングの講習に半日掛けてはいるんですがねー。
<皆さんに、祝福される>

具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツ
・圧力を抜かずに、体を上げていくムーヴ
・カムセット練習
・疑似リード(IKさん、Sさん)
・実践リードトライ(ARさん、IMさん)
<IKさん、プロテクション戦略も初回のわりに上出来>

2014年6月20日金曜日

超が付く基礎を、ジムリード講習で総点検

6月19日(木)は、リード講習1回目。
女性YDさん、女性KRさん、男性NHさんの3名。
もはや、毎度のことながら、今回の3名もリード経験者。

特に、男性NHさんは、他のジムでリード講習も終えているそうです。

ただ、それでも基礎に抜けはイッパイあります。

「岩場リード講習を念頭に、その前段も受けておこう。」
という気持ちで受けてくださり、本当に良かったと思います。

第1回目は、トップロープ+クリップ練習です。
それだけでも

・エイトノット
・ATCを落とさない方法
・ビレイ
・クリップ

の全部に、改善点があったかと思います。
他の2名も、リード経験あり。

ただ、女性YDさんは、思った以上に出来ました。
ちょっと、「第1回目は習うことが少なくて、物足りなかったかも?」
と心配になるぐらい。

ちなみに、私がそう心配するとき、8割の人は十分に足りてるそうです(笑)。

誰かガイドに習ったような話だったので、その方が良かったんでしょうかね。

とはいえ!
なるべく抜けは無くしてから岩場リードを受けて欲しいので、このまま継続していただけると嬉しいです。


具体的な講習内容
・トップロープのビレイ(スライド、持ちかえ)
・カラビナの持ち方
・一手一手レストしながら登る練習
・エイトノットの効率的な結び方
・ATCを落とさない方法
・クリップ練習
・疑似リード(各自1回のみ)

2014年6月17日火曜日

山の知り合いを増やす会

来週の月曜、23日に行います。

(最終月曜は30日ですが、その1週前にしました。)

詳細は、HPの通り
http://ishidajuku.web.fc2.com/gathering.html


場所は、新宿です。

参加希望の方は、メールにて連絡お願いします。
直前参加も歓迎ですが、店に予約するために、おおよその人数把握をさせてください。


講習生同士の輪は、モチベーションの維持に大変大変有効だということが実証されてきました。

例えば・・・
最近、マルチピッチ講習を受けている方々。
これまでの講習や飲み会を通して、仲間になり、頻繁に岩場にも登りに行っております。

飲み会の参加条件は、講習に参加したことがあることだけです。
(1回でも可)

初めての方も、ふるって御参加ください。

2014年6月16日月曜日

マルチピッチリード講習、久々の卒業者

6月14日(土)、15日(日)は、小川山にマルチピッチリード講習。
女性MJさん、男性STさんの2名。
今回で、男性STさんはマルチピッチリード講習を卒業です。

毎度、話に上がることですが、卒業要件は説明しにくいもの。

最終的には、
「この人、だいたいリスク判断が出来ているから、自力で行っても良い頃合いでしょう。」
「敗退判断、ルートファインディング、ロープワーク、などにおいて、不慣れなりに自覚を持って押さえどころを押さえているでしょう。」

という私の感覚です。
<スタート時点での、オブザベーション>

STさんは、実質この2日間だけでの卒業です。
(体験を春に1日だけ受けて、半日弱で雨が降ってきたリード講習が1日ありますが。)

しかも、当塾生え抜き組なので、マルチピッチ自体、講習でしか行ったことがありません。

でも、何日も受講しているMJさんも、納得できるくらい力の差はありました。
<謎の女っぽい>

STさんにとっては、初めてのオンサイトトライ。

でも、敗退シナリオ、ルートファインディング、ビレイ点での作業などなど、なかなか良い判断。
(もちろん、初めてだから遅いし、抜けもあるけど。)
<2日目は、いよいよ大貧民へ>

不思議と、MJさんにとって頼りになる兄貴分的な立ち位置に(笑)。

(とはいえ、ちゃんと意見を出し合う関係)
<取り付きだけは、私から指示します>

それでも、大貧民ルートのトポ無視は、なかなか手強かったようです。

朝8時に登攀開始。

ロープワークで手間取り、
ルートファインディングで手間取り、

一度は、ライン間違いを疑って懸垂敗退をして。

そして、昼13時半から再度2ピッチ目を登り始めて、夕方18時にトップアウト!
さらに、懸垂でも手間取り。

さすがに、ヘッデン間近だったので、下降方法は私が手助けを結構やっちゃいました。

で、それでも19時半に懸垂終了。
<前回、敗退したラインにも再度試みる>

6時45分にキャンプ場を出発して、20時過ぎにキャンプ場に到着・・・。

久々に、大充実の1日でした。
<「あら?こんなところに出るものなんだ。」>

MJさんも、この2日間で相当な経験値が積めたと思います!

本人は
「情報量が多すぎて、消化できなそう」

ぐらいに言っていましたが。
<大貧民の名物ピッチ>


でも・・・
2日目の後半は、疲れながらも、判断も動きも良くなっていました。

だから、体に馴染んだ部分もあると思いますよ。
<だいぶ、テンション上がってます>

<数々のドラマを生んできた、穴抜け>

<オマケピッチで、真の頂上へ>

<完登!>

<マルチピッチらしい風景>

<下降の判断中>