2014年3月22日土曜日

敗退経験が、判断根拠になる

3月21日(金)、22日(土)は、越沢バットレスにてマルチピッチリード講習。
今回は、YZ夫妻。
マルチピッチリード講習では、ちょくちょく敗退場面があります。

時間切れ敗退、突破できず敗退、ルートが行き止まりに行き着いて敗退、などなど。
<アプローチに、雪渓あり>

で、この敗退経験こそが、次の判断根拠になります。
今回の場合、プロテクションが取れない箇所で、安定したムーヴが見い出せずに敗退というパターン。

根性で突っ込むのは、危険すぎるからという判断でした。
<今回は、奥様にリード講習するのが主目的>

リードした奥様にも、安定したレストポイントで考えてもらって、

「この一歩を乗り込んでみて、ガバガバだったり、プロテクションが取れそうな見込みが立ったら、突っ込もう。」

という結論に達して、意を決して一歩を乗り込み!

でも、どちらも期待通りにはならず、その一歩をクライムダウン・・・。
そして、そのレストポイントからも、クライムダウン敗退。

そのクライムダウンで落ちたら、私の感覚で
死亡1割、大怪我7割、軽傷2割、くらいの確率なんで、見ている私もドキドキものです。

もちろん、本人も怖そうでした。
今回の経験で、

「どういう状況なら、突っ込んでも良いのか?ダメなのか?」

の基準が、かなり明確になったと思います。
「何となく危なそうだから」
ではなく、

「これ以上突っ込むと、~~ってリスクがあって、それを避けるためのスキルが今の私には足りないから止めておこう。」

という感じで考えると、敗退は大きな経験になります。
むしろ、オンサイトリードなんて、

「危なそうだったら、止めることも出来る。」

くらいに思っていないと、やってられないモノです。
カムが効くピッチなら、
「最悪、カム捨てればロワーダウン出来る。」

プロテクションが取れない箇所なら、
「敗退は、クライムダウンしかないから、そのつもりで慎重に登ろう。」

ってな具合です。
ただ、敗退した後も、

YZさんから
「今の判断は、慎重すぎて成長に繋がらない、とかは無いんですか?」

と聞かれました。

私は、

「いや、このぐらいですよ。もう少し突っ込む人もいるけど、良い判断だと思いますよ。」

と答えました。
敗退のタイミングは、理屈では分かっています。
それを、自分の感覚で妥当かどうかを講習で確認できて、良かったように思います。

ま、敗退ギリギリを見ている私は、メチャクチャ恐いですが・・・。