2012年9月27日木曜日

墜落率、クライミング用具の強度、の話

9月23日(日)は、前日からの続きでストーンマジック。
雨にて転戦です。
本日は、基本のロープワークを練習しました。

これは、まあいつものこと。
本日、話をしたのに
墜落率、クライミング用具の強度表示(20KNなど)の2つがあります。

この話、なんでしたかというと、「強度の小さいカムを使うと不安な場面」みたいなことを理解するのに、必要だと思ったからです。
本に書いてある内容を、かいつまんで言うと

墜落率 = 墜落距離 ÷ ロープを繰り出した長さ

墜落率の最大値は2。
グランドフォールで、墜落率はおおよそ1。

墜落距離で、物理的なエネルギーは決まる。
が、支点、クライマーなどに掛かる瞬間の力は、墜落率で決まる(部分が大きいようだ)。


ここまでは、まずは本で読んで感覚的に理解して欲しいところ。
で、問題はそれがどう役に立つのか?

これが、本だと分かりにくいので、今回は皆さんで
ディスカッションっぽく共有してもらいました。

例1)
クライマーの感覚だと・・・
「20mのロングフォールだから、プロテクションが心配」というのは、感覚的なもの。
本当は、「墜落率が0.8くらいあるから、プロテクションが心配」というのが、より科学的な感覚。

例2)
リードの出だしは、墜落率が高いので、支点・ビレイヤーに対する負荷も大きく、ロープの消耗も早い。

例3)スポーツルートで15mくらい登ったら、墜落率は小さい(墜落エネルギーに対して、ロープが十分に伸びる)ので、ビレイヤーが流す必要性は小さくなる。

例4)ロープと違って伸びの無いスリング、ヌンチャクなどでのセルフビレイは、それ自体にガツンとテンションを掛けると、支点にも腰にも危険。

などなど。
クライミング用具の強度表示は、

・カラビナ、スリングは、20KNくらい。
・ウィップフラッシュ現象でゲートが空いたときの強度、カラビナを横向きに引いた強度は、8KNく。
らい。
・フリークライミング用、として最少カム(エイリアン緑、マスターカム青、など)は、8KNくらい。
・大きめのキャメロット(3番など)で、14KNくらい。
・ハンガーボルトは、14KN以上が一般的。(ハンガーに書いてある表示を見る限り)
・リングボルトで、2KNくらい。

ってことは、例えば以下の結論が出ます。

①10KNを越えるような力が掛かる墜落は、かなり稀。
墜落率が特に大きいときぐらい、などと考えると、シンプル。

体重の軽い女性の場合は、さらに稀。

②とはいえ、小さいカム、小さいナッツの使用は、例え岩が堅くても注意。

③「スリングに結び目を作ると強度が落ちる」と言う話がある。(実際に下がるそうだ。)
が、10KNを下回るとかの大幅な強度低下情報じゃない限り、そんなに気にする必要はない。

特に、セルフビレイにカウテールを使う程度、強度の不安なプロテクション2つで固定分散を作る程度なら、尚更。

④5KNとかの細引きの用途は、要注意。
敗退スリング専用、など。
具体的な講習内容
・終了点作業の総復習(結び替え、残置スリングで懸垂、立木で懸垂)
・縦走中に懸垂下降する
・墜落率
・クライミング用具の強度表示

今回は、講習で扱った内容+αをブログに掲載してみました。