2012年5月22日火曜日

講習生が自分でロープを使う山に行く、という話

5月21日(月)の夜は、ベースキャンプにてジム講習。
常連男性KBさん。
普段は、ムーヴ講習レベル2を受けているKBさん。
本日は、本人の希望により3時間のうち半分をロープワーク講習に充てました。

最近、雪山や妙義山縦走などを自分でやってみるにあたり、自分のロープワークの稚拙さを思い知ったそうです。
そして、今週末から奥多摩の沢デビューを計画しているそうで、ロープワークをここから本格的に学びたいという御要望。
過去に、マルチピッチ体験を2回(越沢バットレス、二子中央稜)、雪山バリエーション体験を1回(赤岳天狗尾根)受けております。
しかも、他ガイドの元で、入門アルパインルート数本を登っておりますので、ある程度の現場経験はあります。

とはいえ、自分で行くとなると、話は別。
ロープ1つキッチリ畳めないことに気づき、懸垂の度にロープが絡むもどかしさを味わい。
自分なりに、煮え湯を飲んだそうです。

さあてこれから!
といったスタートライン。

ちなみに、沢にしろ入門バリエーションにしろ
「私から見て、本当は身につけてから行って欲しい技術」
というのは山ほどあります。

それを、8割以上も講習しようと思ったら、1年2年は毎月岩場での受講が望まれます。

が、実際にはそんなもののうち3割も身につけないままで、バリエーションに突入する人がほとんどです。
かく言う私も、学生の頃、懸垂下降すら怪しい状態で沢に何度か入っておりましたし(笑)。

ガイド基準で見たら絶対に危ないのですが、始める頃ってそんなもんです。
そういう訳で、よっぽど酷い計画でなければ、私から見て危なくても
「なるほど、気をつけて行ってきてくださいね。」
という話です。

でも、こういうちょっと攻めてる初心者って、聞いてくる内容が凄くリアルで、教え甲斐はあるんだよなあ。
具体的な講習内容
・基本フォーム5項目のチェック
(ネコ足、肩の脱力、指の脱力、腰を壁に近づける、引きつけよりも捻りを優先する)
これに関しては、毎回成長を感じます。

・懸垂下降の仮固定
・ザックからロープを出して、懸垂下降に移るまでの手順
・ロープの畳み方(できるだけキッチリ畳む)
・ルベルソを使ったセカンドの確保(ルベルソ解除は講習せず)

ちなみに、
①ジムで、危ないビレイを目にすること
②山で、危ない人を目にすること
③知り合いから、危なっかしい山の計画を聞かされること

こういう機会は、ビックリするぐらい多いものです。
が、全部に意見していたらキリがないので、現実的な対応も必要ですね。

ジムなら、「よっぽど酷くない限り、ケンカにならないことを優先する」とか。
岩場なら、「よっぽど酷くても、ケンカになりそうなら無視する」とか。
山の計画なら、親しさ&話を聞く耳に応じて対応、とか。

私の場合は、そんな感じです。