2012年2月29日水曜日

無料体験講習会、2月

2月28日(火)、ようやく無料体験講習の話です。

昼の部:
女性MDさん。

なんと、彼女は僕の大学の先輩。
初めてクライミングジム(旧ランナウト)に連れてきてもらったのは、彼女にだったような記憶が曖昧ながらあります。
たしか、部活の仲間5人ぐらいで来たんだと思います。

クライミングは、細々と続けてきたようですが、昨年末に8年ぶりくらいにランナウトで再会。
今は、近所にいるらしく、これを機にクライミングを本格的にやろうという意気込みです。

ランナウトに通うようですので、今後もよろしくお願いします。

具体的な講習内容
・ダブルチェック
・レスト
・チョークアップ
・脱力
・腰を壁に近づける意識

まあ、同じ部活でロープワークも校舎の壁でやってましたし、クライミング経験も、沢経験もあり、剣道有段者じゃあ、何でも話が早い。
やれば、必ず上手くなるでしょうね。
夜の部:
女性TSさん(1時間講習からの続きで)、新規の女性TUさん。

TUさんは、石井スポーツ登山学校を一通り受講してきた方。
ガイド登山は、したくないし、出来ないので、山岳会を探しているとのこと。

また来ましたかー!

まだ、ジムでのリードも出来ないので、ほとんど1から教えてくれて、しかも安全管理がしっかりしてそうな所。

すみませんが、たぶん無いです。

極論かもしれませんが、僕の経験則を言います。

1から教えるってことは、自分の練習時間が減るっことです。
新人に毎週合わせた山行が出る、ってことは先輩達が頑張る山行してないってことです。

つまり、
「ちゃんとした人が居る山岳会」=「案外、新人は自主自立を求められる山岳会」
って構図です。

お金が許すなら、講習を利用しつつ、少し周りが見えてきた頃に山岳会を探すというのも1つです。
とはいえ、TUさんが通えそうなのは、あそこか、あそこか、あるいはそこか、ぐらいの紹介はしておきました。

山岳会は、一度入ったら10年、上手くすれば一生のお付き合いですよ。
本気で探しましょう!

具体的な講習内容
・ダブルチェック
・ATCを落とさないように持つ
・ネコ足
・レスト
・チョークアップ
・脱力
・腰を壁に近づける意識
本日は、長い1日でした。

リードに必要な最低限のムーヴ

2月28日(火)の夜、またまた無料体験の前1時間の間隙を縫っての申し込み。
女性TSさんです。
「久々に、ネコ足の練習がしたい」、「リードがやりたい」との御要望でしたが、さすがに1時間で両立は無理でした。
とりあえず、リードに必要な最低限のムーヴ講習を行いました。

最低限のムーヴとは、たぐり落ちの可能性が少ない登り方です。
具体的には、脱力とネコ足ができれば、ほぼ十分だと思っています。

今回で、それはほとんどクリア出来たので、次回はリード講習でしょうか?

具体的な講習内容
・ネコ足
・肩の脱力
・足をパパッと動かそうとする癖を無くす
・エイトノットの結び方

クライミングを自己流でやっていると、色々と癖も付きます。
周りのレベルが高ければ、指摘し合えますから、特に大きな問題もありません。

が、5.10前半の初心者レベルだと、変な癖が上達の大きな障壁になることもあるようです。
そういう意味でも、伸び悩みの方にこそ受けて頂きたいムーヴ講習です。

リハビリクライミングで、丁寧さを練習

2月28日(火)の昼、無料体験の前、わずかな間隙で特別2時間コース。
常連女性KKさん、西国分寺女性KDさんのペアです。
お二人とも、実はクライミング自体が相当久しぶり。
ホールドを持つ手も、プルプル震えてしまう状態です。

まずは、リハビリからお付き合いいたします。

ただ、こんな状態でも良いこともあります。

・KKさんは、足を滑らす不意落ちが、本日は1回も無かった。
・KDさんは、長らく苦手意識があった肩の脱力が、徐々に分かってきた。

筋力が戻るまで、低いグレードでしばしリハビリです。
ただ、その間もテクニックは習得し続けること出来そうですね。
具体的な講習内容
・肩の脱力(復習)
・足を移動させるときは、ガバにぶら下がるようにする。
・腰を壁に近づける意識

まずは、気負わず再開。
そして、調子が出てきたら上達狙い!と行きましょう。

2012年2月27日月曜日

ジャミング慣れの道は長し

2月26日(日)は、城ヶ崎にてクラック講習。
前日のロープワークから連続の、常連女性TZさん、男性STさんに加えて、最近ムーヴ講習にハマッている女性ODさん、の合計3名。
ジャミングは、最初の説明を受ければ誰でもちょっとだけ使えるようになります。
これが全く出来なかったら、説明した人が下手だと責めて良いでしょう!

その一方で、ジャミングやムーヴのコツは、(僕がタイミングを見て説明しようと心に留めているものだけでも)10個、20個とありまず。

で、最初に5個もコツを聞いても、イメージが沸かないので意味がありません。
1回登るごとに1個コツを聞いて覚えられるのは、天才クライマーだけ。
つまり、1個のコツを習得するのには、10本ぐらい登る必要があります。

たとえば、初心者がよく躓くポイント5個を挙げると・・・

・ハンドジャムで親指の付け根を膨らませるタイミング(早すぎては、そもそも入らなかったり、点効きで痛かったり)
・フットジャムは、なるべく奥まで入れた方が効くことが多い
・狭いハンド(タイトハンド)で、手をねじ込む様子
・ワイドハンドで、力を入れる場所(親指以外は、なるべく脱力)
・方向が限定されるジャミングを意識(一方向にだけ効くハンド、フィンガー、フレアハンド、シンハンド、なんかを体の動きカバーする)

ってな感じです。
順々に教えて行きたいですね。

それでも、ただ闇雲に10本登るよりは、コツを意識して10本登れば、上達速度は何倍かにはなります。

これは、ジムでのムーヴ講習も、クラック講習も同じですね。
TZさん:
さすがに初歩的なジャミング慣れは十分!
とりあえず、今はジャミングよりもカム慣れです。

STさん:
クラックは、ほとんど初めて。
確実に初歩的なジャミングに慣れてきました。

ODさん:
ジャミングの名称を知らなかっただけ?
すでに、他のガイドの元で、ある程度のジャミングは習得していた様子。
でも、名称を覚えることも大事ですよね。
頭が整理されます。
具体的な 講習内容
(本日は、3人がバラバラの講習内容)

TZさん:
・リード練習
無名ルート3本をリード&フォローの復習を兼ねて(グレードは、5.5以下?)、鬼ころし(5.7、再登)、純(5.8、三本目の5.8をR.P.!)、ネッシー(5.8、再登)
(その中で、ランナウト具合、プロテクションの駆け引き、などを指摘して行く実践練習)

☆そろそろ、自立してクラックの岩場に行ってみては!?

STさん:
・フットジャムは、少しでも奥まで入れた方が効くことが多い
・ハンドジャムのサイズ調整
・カムの効かせ方
(疑似リードを1回練習)
・ナッツの効かせ方
・チムニーでの基本(スタンスは、レストポイント。ギア・チョークバックは、外に出す。)
・チムニーでのムーヴ名称(ニーロック、ヒール&トウ、アームバー)
・カムを持って行く個数

☆カム購入が、最初の核心部か?

ODさん:
・テーピングの巻き方
・ハンドジャム(順手、逆手)
・フィストジャム(順手、逆手)

・チムニーでの基本(スタンスは、レストポイント。ギア・チョークバックは、外に出す。)
・チムニーでのムーヴ名称(ニーロック、ヒール&トウ、アームバー)

☆とりあえず、ジャミングの名称を覚えて行きましょう。

本当に盛りだくさんでした。
ちなみに、本日はパープルシャドウがビショ濡れ!
それでも、STさんだけは頑張って登りました。

2012年2月26日日曜日

マルチピッチのロープワーク講習

2月25日(土)は、ストーンマジックにてロープワーク講習。
本日は、もともと城ヶ崎クラック講習の予定が、雨で変更。

常連女性TZさん、久々の男性STさんで、マルチピッチシステムの半分くらいをやりました。
「ロープワーク」というと一見地味です。

最近のクライミングジム流行りのお陰で、アルパイン志向の初心者もクライミングジムでの練習に抵抗が無いようです。
これはこれで、本当に良いことです。

が、その分、おざなりにされた分野があるわけですよ。

たとえば、平日、山岳会のメンバーで頻繁に集まって飲み会やることだったりするんでしょうね。
そして、そこでバッチリ仲間意識を培って、地図読み、ロープワーク、雪上訓練やらを頻繁に企画し、新人を鍛えると。

で、これがまた一朝一夕には身につかない技術!
雨の日、ジムに登りに行って、半日レストとするのも良いです。
が、たまにはこういった地道な練習もやっておくことをオススメします。

特に、マルチピッチを何度か体験した人ならば尚のこと。

効率的なロープワークは、「一応、システムは分かった」レベルじゃあ全く無理!
頭の中が、曇り無く(!)スッキリ整理されて、ようやくテキパキと動けるようになるのです。

またこれも、反復練習です。
TZさんは、来月から再開するマルチピッチリード講習への総復習のつもりで。

STさんは、何度か連れられて登ったマルチピッチ。
これを初めて体系的に勉強。

毎度、頭がパンクしそうになるロープワークですが、この日は相当頭が整理されてきたようです。
具体的な講習内容
・1ピッチのリード&フォロー、懸垂下降、という流れ
(カウテール、ルベルソの使い方)

・懸垂下降のバックアップ
(レッグループのオートブロックを付ける方式)

・懸垂下降の仮固定
・ATCを落とした場合の対処(半マストを使ってセカンドビレイ、懸垂下降)

・名物クラックにチャレンジ(5.9のハンドクラック。いつものオマケ講習。)
本日は、2人とも見事完登!
これは、前回が完登できなかっただけに、なかなか嬉しい。
「アルパインを目指すのに、あまりに練習練習が多すぎて辛い!」という人は、とりあえず連れられてでもマルチピッチゲレンデや雪山に行ってみることをオススメします。

あまりに長い道のり。
それもモチベーションを低下させますので、とりあえず現物を見た方が良いですよ。

当塾のマルチピッチ・雪山などの体験講習もありますので、どうぞやってみましょう!

2012年2月22日水曜日

じっくり基礎固め

2月22日(水)の昼は、ランナウトにてジム講習。
当面は、毎週予定の女性ODさん、女性KMさんのペア。
本日は、2人は別メニューです。
KMさんは、脱力を徹底練習。
ODさんは、反動ムーヴをやってみます。

何が苦手かは、人によって異なります。
ムーヴの覚えが良い人、手順などの戦略面が得意な人、ロープワークが得意な人。

それぞれ、掛かる時間も違います。
しかしながら、基本ムーヴを覚えるのは絶望的、というほど不器用な方には、未だに出会ったことはありません。

ただ、出来ない人は、
・コツが分からないか
・コツが分かりかけたときに反復練習をやるほど燃えないか

のどちらかはあると思います。

どうしてもコツが分からないときは、人に聞きましょう!
コツが分かりかけたときは、徹底的に反復しましょう!

単純ですが、それに尽きると思います。

具体的な講習内容
・脱力の徹底練習(KMさん)
・反動ムーヴ(ODさん)
・エイトノットの結び方、注意点(復習)

まだまだ、色々と教えたいことはありますが、まずは基礎固めです。

無料体験講習会のリマインド

今月は、28日(火)です。

昼の部は、15時~16時半。
夜の部は、20時~21時半。

初めて参加される方は、個人情報などをいただくため、必ず事前にメールをください。

すでに講習を受けたことのある方は、人数把握のため、(直前でも構いませんので、)なるべくメールをください。

同人化する山岳会?

2月20日(月)は、入間のベースキャンプにてリード講習6時間コース。
本日は、新規の女性WNさん。

彼女もまた、山岳会に所属しつつ、講習だけは受けに来た一人です。
どうやら最近の山岳会は、“同人”っぽくなっていることが多く、新人にはなかなか厳しい環境だそうです。

“同人”というのは、山岳会を単なるパートナー集めの場と割り切ったようなものです。

例えば、ベテランになっても新人教育などの義務も一切負わず、会山行も無い。

現在、同人と名乗っているグループは、
「それによって、ベテラン同士で、自由で、よりハイレベルな山行が可能になる!」
といった、熱い志で始まったところが多いようです。

(それが、そのまま熱い志なのか、それとも単に楽だから同人のままなのか、それは会によるでしょう。)

実際、アルパインクライミングを覚えるまでの膨大な基礎を考えると、新人が入る度に先輩をそれに付き合わせるのはなかなか大変です。

しかも、アルパインクライミングの土台が細分化しています。

上級者になるほど、
「今は、クラックやりたい」
「アイスやんなきゃ」
「やっぱり、本チャンも継続してやらないと」
「基礎は、冬山縦走」
「ボルダーやるべき」
「花崗岩が一番大事だ」

などなどと、色々なジャンルを強くしようとします。
あるいは、元々は総合的なアルパインクライマーを目指していた人が、特定の一分野にドップリはまる、ということも多いです。

でも、新人が最初に求めるのは、簡単なマルチピッチでのロープワークだったり、自分では行けない程度の雪山登山であったり。

つまり、上級者っぽい人ほど、新人にはスポーツクライミングくらいしか付き合わないのも仕方なし?
逆に、新人の面倒見が良い人っていうのは、自分自身がたいしたレベルになりにくかったりします。

かく言う僕も、プライベートではどちらの面にも思い当たる節がありまくり!
この問題に、良い解決策は思いつきません。

ただ、懐が許すなら
「ある程度は先輩に連れて行ってもらいつつ、自分でも山へ行き、さらに講習で補う」
というのが、ベストではないでしょうか?

・先輩に連れられての山行では、仲間意識も強くなり、現実的なトラブルも経験するはず。
・自分の山行では、先輩に守られないことで、一番大切な強さが身につくはず。
・講習では、確実な技術を覚えられたり、伸び悩みを解消できたりするはず。

ちなみに、自分の山行では、同じモチベーションの初心者仲間が居ると最高ですね。


具体的な講習内容
・ダブルチェック
・脱力
・ATCの落としにくい操作方法
・エイトノットの効率的な結び方、注意点
・クリップの方法(練習も)
・リードでやってはいけない事例集
・疑似リード
・落ちる練習
・最後に、本気トライでフォール!

今回は、時間切れでビレイまでは至りませんでした。

当塾では、個人で登山を目指す人はもちろん応援します。
が、山岳会に入っていて、講習を“上手く利用しよう”という方も、応援したいと思っています。

新人の皆様、どうか諦めずにしつこく登り続けてください!

2012年2月20日月曜日

赤岳天狗尾根(登山のディープな世界へようこそ!)

2月18日(土)、19日(日)は、八ヶ岳にてバリエーション講習。
常連男性KBさん、赤岳天狗尾根です。
当初の予定は上越でしたが、あまりの寒波と積雪に、八ヶ岳へ変更した次第。

それでも、先週までのトレースは薄くなっており、スタートして間もなく足首程度のラッセル。
そして、昼頃からはワカンを装着。

膝下ながら、延々と続くラッセル街道・・・。
今回はなんと、お客様の希望により
“初日は、お客様がオール先頭でラッセル!”

「山、ビンビンに感じますねー!」
「自分で切り拓いてる感、すごいですね!」

なんてことを仰ります。
熱い!
さらに、僕が勧めた黒ワカンに買い直して参戦。
このワカン、塗装のお陰で雪団子も付かず、反り返りが無いためにキックステップもしやすい!

ラッセルスピードが体感2割アップする、秀逸の一品です。

その他にも、先月の荒沢山の反省から、手袋、ストック、防水、などのあらゆるラッセル装備を一新!

「今年は、ラッセルの年だ!」
と、燃えております。
そして、どうにか初日の目的地。
2,500m付近のテント場へ。

本日は、厳しい寒波の中、よく頑張りました。
代償は、テントの中で足がツリまくり!
なぜか、後ろを歩いただけの僕も、この日は足がツリまくり!
2日目は、ビックリするようなポカポカ陽気。
わざとゆっくり出発します。

今回は、条件も良かったのでガイディングはせず、お客様にポイントを解説しながら登りました。

核心部以外、ちょっとした危険箇所はロープも付けないので、お客様も自分で慎重に歩いていただきます。
KBさん、意識的にトポをほとんど読まずに来たそうです。

理由は、
「ここは右から巻く」とか書いてあると、ルートファインディングがつまらなくなるから!
だそうです。
オンサイトの楽しみまで、意識していらっしゃるとは!

もはや、お客さんレベルじゃない熱さ!
どこか、山岳会を探しては?

では、2日目も核心部以外は先頭を歩いていただきましょう。
さらに、岩登りのセクションでは、リードする僕を見て、
「カムとか決めながら登るの、楽しそうですねー。次は、あれですねー。」
と、まで仰る。

登山の、ディープな世界へようこそ!
さらにKBさん、『日本登山体系』をこの1ヶ月で6冊も購入し、行きたいルートを増やしてワクワクしているそうです。

もしかして、すでに僕よりディープな世界に行っちゃいましたか!?
12月の越沢、1月の荒沢山、そして今回。

わずかな期間で、技術、意識、落ち着き、KBさんの全てが変わりました。

僕は、クライミングジムでは割と丁寧に教えますが、山では「行けば分かりますよ。感じてください。」ってことが多いです。
もちろん技術は教えますが、考え方は経験的に感じた方が良いように思います。

それが全ての人に当てはまるとも思えませんが、KBさんには的中しているようですね。
そして、頑張った代償は、いつもヘロヘロの下山。
大怪我にだけは気をつけながら、ゆっくり休み休み下りました。
行動記録
1日目
6:30 美し森駐車場を出発
10:00 出合小屋(~10:30)
17:15 2,500m付近に幕営開始

2日目
7:30 出発
12:45 登山道合流
13:45 真教寺尾根分岐(今回は、赤岳は登頂せず)
    真教寺尾根を下山
15:00 樹林帯
18:35 美し森駐車場
まだリードはジムだけのKBさんですが、目指す土台はこの上無いですね。

2012年2月16日木曜日

反動ムーヴ(デッドポイント基礎編)

2月15日(水)の夜は、ランナウトにてジム講習。
最近、隔週でムーヴ講習を受講中のARさん。

本日は、反動ムーヴを練習しました。
次の一手を取りに行く際、一度反対側に体を振って振り子のように発射!

と言っても、足はそのままであったりするので、飛ぶ(ランジ)ほど派手ではありません。
ダイナミックムーヴ(いわゆる、デッドポイントとランジ)の基礎編です。

このムーヴ、何が良いかって省エネなんです。
ジムの5.8を流れるように登る常連さんの姿、見たことありませんか?
彼らは、淀みなく登るだけではありません。
実際に、フワリフワリと体を揺らしながら登っているから、流れるように見えるのです。

で、これが5.12を登るような人でも、「フワッ」と感が上手い人とそうでも無い人が居ます。

苦手な方によくあるのは、デッドポイントをスタティックよりパワフルな動きだと勘違いしていること。
それは、誤解ですよ!
もっと、フワリフワリと登れるはずです。(コツさえ分かれば・・・)

極端な例ですが、初歩的なランジでさえフワリと決めれば、細かいホールドでの普通の動きより、省エネ(!)だったりするのです。

コツは
・振り子しやすい足位置を選ぶこと。
・思い切りよく反対側に振ること。(発射のタメを作る)

山ではスタティックが基本ですが、スポーツクライミングでは初めの一歩的なムーヴなのです。

具体的な講習内容
・反動ムーヴ
・引きつけよりも捻りを優先する意識(復習)
・腰を壁に近づける意識(復習)
・アウトサイドフラッギング (今回で、おおよそのコツは掴めた様子)

ARさんは相当に頑張り屋さんなので、毎回、呆れられるくらいの本数を登っております。
良い持久力トレーニングにもなりますね。

2012年2月15日水曜日

上達のきっかけは、人それぞれ

2月14日(火)の夕方は、本日2コマ目のジム講習。
常連男性KBさん。
KBさん、いよいよ上達しております。
何が上達したかって、全てにおいてリラックス出来ております。

以前は、アップするだけでシャツが汗だく。
体をほぐすのにも1時間くらい掛かりました。

緊張しやすいんですね。

しかし、本人曰く
「12月の越沢でのマルチピッチ体験で、度胸も付いたし、モチベーションも上がったし、練習すべきことが頭の中で色々と繋がって来た!」

クライミングが楽しくて仕方ない状態ですね!

久々のジム講習なので、色々と癖を直したりしつつ、前半は5.8をより楽に登れるようにしていきます。
そして、後半はリードとビレイの復習。

すると最後は、5.10bをリードで一撃!
成果、出ちゃいましたねえ。

具体的な講習内容
・脱力(肩、指)、腰を壁に近づける、捻りを優先させる(すべて復習)
・足を移動させるときは腕を伸ばしたまま懐を開いても良い
・リード、ビレイの復習
・薄被りの5.9、垂壁の5.10bをトライ。(どちらも、一撃)

KBさんは、筋力的にはなかなかの強さをお持ちです。
慣れていけば、かなりの上達も夢じゃないと思います。

初心者にオススメの、簡単持久力トレーニング

2月14日(火)の昼は、ランナウトにてジム講習。
本日は、講習3回目となる女性ODさん、女性KMさんのペア。

毎週の受講で、一気に登り方を改善しようという2人です。
講習中に、以下のような課題を出してやりました。

「薄被り面の一番易しいルート(ランナウトでは、5.8)を、トップロープで3回連続登ること」

これは、初心者にオススメな持久力トレーニングです。

というのは、これでクライミングに必要な
・最低限の筋力
・省エネ技術
のチェックが出来るからです。

さらに、5.9が登れない人も、5.8が3回~5回連続で登れる頃には、5.9が登れるようになることが多いです。
(筋力の意味でも、技の意味でも)

そして、5.10aが登れない人も、5.9が3回~5回連続で登れる頃には、5.10aが登れるようになることが多いです。

詳しくは、トレーニング理論みたいな話になるのですが。
結論だけ言うと
「初心者には、低負荷の持久力トレーニングで、クライミング慣れに集中するのが、一番効率が良い。しかも、故障もしにくい。」
という話です。

しかも、この練習。
ジムに来る度、着実に到達高度が上がるので、モチベーションも上がります。
「前回は、1回と半分登れた。」、「今回は、2回登れた。」といった具合に。

ただ、残念ながら5.11とかになってきたりすると、この法則が当てはまりにくくなってきます。
クライミング歴の長い方なら、想像が付くでしょう。

とはいえ、そういう初級者にとっても、3回立て続けに登ったりするトレーニングは、有効です。
初心者ほど劇的にグレードには結び付かず、特定の能力がアップするくらいの効果ですが。

「5.10aにトライしたい!」
「5.10cにトライしたい!」

そういう「最高グレードを追いかけたい気持ち」も、素晴らしいです。
それなら、ときにはトレーニングにも目を向けてはいかが?

具体的な講習内容
・肩の脱力(復習)
・指の脱力(復習)
・薄被り面の5.8を3回続けて登る課題
・エイトノットの結び方(諸注意などの確認)
・トップロープの練習(詳しくは、また次回)

ちなみに、中上級者は筋力トレーニングと技のトレーニングを同時に行うのがちょっと難しくなるので、よく「登るだけの限界」なんて表現がされます。
その辺は、クライミングの入門書の最後の方に、実は熱く語られていたりします。

結構、モチベーションが要る方法ですが、続けられる範囲で僕も取り入れています。

この機会に、一読してみては?

湯川で息抜きアイスクライミング

2月12日(日)は、湯川でアイスクライミング。
前日の真教寺が早めに降りられたんで、パートナーともども、近くで宴会山行やってた立川山岳会などの混成グループに混ぜてもらいました。

宴会がすごくて、2日酔い多発の面々(K島嬢、S原さん、Hさん、などなど総勢15名)で、出発。
湯川は、クラックの入門岩場として有名です。
そして、冬はアイスクライミングの入門エリアとしても有名です。

専門用語を使えば、
・傾斜は強く、垂直前後
・10m程度の短いルート
・ほとんどがリードしにくいようなツララ(夏の滝が凍った物では無いので、トップアウトしにくい。通常、トップロープ)

といった条件です。
一時流行った言葉に、“バーチカルアイス”(垂直の氷、の意味。パンプとの戦いでもある。)というのがあります。
ここ湯川は、まさにその体験エリアです。

以前は、ここで持久力トレーニングなどをしたものです。

ただ、今回は、縦走の帰りの飛び入り参加につき、アイス装備が皆無!
アックスも他人の物を借りて登るのみ、アイゼンも縦走用の平爪、グローブも毛手、といった有様でした。
ただ、アルパインクライミングの師匠であるS原さんの登り、アックスの研ぎ方、なんかを見たりして、ちょっと刺激になりました。
僕が下手なことを除いても、やっぱりS原さんは上手いなあ。
そして、アルパインクライマーらしい度胸が良さもかいま見えました。

フリーじゃ僕が絶対負けないのに、アルパインじゃ一生かなわないと思う師匠です。
まあ、アルパインは危ないんで、僕は競争心はなるべく捨て去るようにしていますが。

とはいえ、僕の倍くらいの年齢なんですがね!
「さすが!」の一言。

2012年2月14日火曜日

赤岳真教寺尾根(入門バリエーション一歩手前の登山道)

2月11日(土)は、自分の山行で八ヶ岳の赤岳真教寺尾根へ。
最近、知り合いになった早稲田の学生さんと。
本当は、この日は権現東稜というバリエーションに行くつもりでしたが、紆余曲折して真教寺に。

真教寺尾根は、夏は一般登山道ながら、冬は登山道とバリエーションの中間的な難しさを有する尾根です。
まず、赤岳西面の人混みに比べ、ここ東面は圧倒的な登山者の少なさ!
おかげで、近場の八ヶ岳に居ながらにして、自力で登った感が満載です。

例えば
・八ヶ岳は雪が少ないが、東面はワカンを持って行くのが一般的なくらい、多少のラッセルも期待できる
・入山者数の少なさから来る緊張感、ルートファインディング、などの楽しみが増える
・鎖場、雪壁など、「初心者を連れてくるならロープは出した方が良い」くらいのスパイス的な核心部

といった所です。
しかも、
・雪の量、鎖の出方、天候、などの条件で、ロープを出すかどうかなどの判断も異なってくる

ってところが、アルパインを目指す人には、勉強になって良い訳です。
本格的なバリエーションを目指す前に、ちょっと難しい登山道で雪山の基礎を固めてはいかがでしょう?

・トレースがあったり無かったりくらいの人気具合
・鎖、ハシゴ、などが夏でもちょっと緊張するくらいの岩場のある登山道
・雪は結構ある

くらいの条件で、僕の頭の中には
谷川岳西黒尾根、甲斐駒黒戸尾根、北岳池山吊尾根、槍ヶ岳の穂先

なんかが浮かびます。

どれも、複数回登っていますが、条件が悪かった日にはロープを使用して歩いています。

雪山初心者には間違ってもお勧めしないルートですが、アルパインを目指すのならば何本か経験しておくのが筋道じゃあないでしょうか?
しかも、ちょっと条件が悪い日でも、めげずに登って欲しいところ!
そして、今回は機会があって真教寺尾根も登りました。
本日は、条件も良すぎて、ロープもワカンも出さず終い(笑)。

そんな日、日帰りで気持ちよく登ってしまうのも、強くなった気分で楽しいですね。
 行動記録
5:15 清里駅出発
5:55 美しの森駐車場
     予想以上にラッセルが無いため、日帰り下山を予感
8:40 牛首山山頂(テント、寝袋、などをデポ)(~9:00)
13:00 赤岳山頂
15:40 牛首山山頂(テントなどを回収)(~15:50)
17:00 たかね荘のあたりの林道へ下山

パートナーがやり手だったのか、道行く車が突然と駅まで乗せてくれた。
ヒッチハイクしてないのに。

さすが女子大生・・・。
30の大男とは違う・・・。
本当は、1泊2日の予定でしたが、日帰りで降りてしまいました。

雪山は、胸までのラッセルだったり、ラッセルがほとんど無くて予定の半分の時間で行けちゃったり、自然次第でどうにでもなりますね。
 とりあえず、この日は綺麗な雪景色が良かったです。

2012年2月9日木曜日

雪山1年生は、お金が掛かる

写真は後で。

2月8日(水)は、谷川岳天神平スキー場にて雪上訓練。
本日は、男性KNさんと、その職場仲間5名を合わせた6名での団体講習。

この職場、実は登山用品店だったりして、ある意味全員が業界人。

特別、研修とかではないそうです。
単純に、雪山を始めたい人や、すでに始めている人が、受けに来ました。

全員が元気ハツラツな上に、和気あいあいを絵に描いたような団体講習となりました。

山道具屋に勤めているだけあって、ウェアはバッチリ!
ME、ノース、マウンテンハードウェア、とさながら展示会。
しかも、結構上級モデルじゃあないですか!?

が、手足は最も重要!
雪上訓練では日常的なことですが、本日も手足に雪が入ってしまう講習生の方々が・・・。

ホント、何事も経験ですね。

本当のことを言えば、
「雪山1年生は、上下雨具、ダウン無し、インナーとフリースはユニクロ製品でも良いから、登山靴・手袋・スパッツだけは良いのを買え!」
という話です。

とはいえ、僕も使い古した登山靴でマッキンリーを登り、足を凍傷にやられているんですが!

もちろん、上級モデルのウェアは、やっぱり便利です。
学生時代は、貧乏装備の代表例のような僕でした。
が、最近一部に良い物も使うようになって、ようやく違いが見えて来ました。

細かい話は、山道具屋さんに譲ります。
が、例えば、余裕が出来たら冬用ジャケットやインナーダウン!
難しいですが、定期的に買い換えれば(!)、やっぱり冬山が快適になりますよ。

冬山は、アイゼン、ピッケル、ワカン、雪崩ビーコン、ゾンデ、スコップ、などのギア類だけでも買い物が多く、大変です。
しかも、アルパインやらスキーにまで手を出した日には・・・。

そんな物入りの方々、有料の講習を受講してくださり、ありがとうございました。

具体的な講習内容
・ラッセルの型
・キックステップ
・直登、直下降、斜登行、斜下降のポイント
・颱風姿勢
・アイゼン歩行
(フロントポインティング、フラットフィッティング。ハの字、川の字、の使い方。)
・滑落停止
・グリセード

本日も盛りだくさんでした。

講習中は、他にも
・バケツの掘り方
・手袋を外さないポイント
・アイゼン装着のポイント
といった、雪山常識的なことも織り交ぜて実践したりしております。

2012年2月7日火曜日

クライミング中、自分の姿は見えない

2月7日(火)の昼は、ランナウトにてムーヴ講習。
本日は、ムーヴ講習2回目の女性ODさん、女性KMさん。

クライマーが自分の姿を意識するというのは、口で言うほど簡単ではありません。

初心者は無我夢中。
少し慣れてきたら、手順を意識できる程度。
中級者なら、足位置まで覚えたり、ちょっとした重心移動まで記憶しながら登っております。

まずは、落ち着いて!
足音を立てずにゆっくり登り、一手一手レストしながら登ってみましょう。

一手一手を分解すれば、少しは自分の姿も見易くなるものです。

そして、最初は手順用語を覚えること。
それが、一番取り付き易そうですね。

時間の掛かる作業ですが、じっくりやっていきましょう。

具体的な講習内容
・脱力(肩、指)の復習
・インエッジ、フロントエッジ、アウトエッジの名称
・手順に関する用語(飛ばし、中継、寄せ、持ち替え、マッチ、クロス)

冬の低山ハイク(奥多摩の大岳山)

2月5日(日)は、奥多摩の大岳山にて登山講習。
本日は、新規の男性KUさん。
KUさん、ほとんど登山は初めてながら「1,000m級の山を、夏冬通して登山できるようになりたい」との御要望。

冬は、夏より装備も少し増えます。
が、低山ハイクならば、本格的な雪山よりは手軽に始められます。

そんなわけで、最初から雪のあるコースを選びました。
このコース、雪の無い時期は登山入門コースとして、講習で何度か利用しています。
何がオススメかって言えば、変化に富んでいるのです。

まず、ロープウェイで御岳山頂の宿坊&観光街。
そこで、山頂神社をお参りしたら、いよいよ登山道へ。

スタートは、道も広くて歩きやすい遊歩道。
徐々に登山道らしくなってきて、水場、沢、コル、簡単な鎖場、と越えて山頂へ。

下山は、破線ルート(準登山道というイメージ)で少しスリルを味わい、沢沿いを降りる。

いよいよ麓に近づくと、海沢の大滝、ネジレ滝、三ッ釜の滝、の3つが迫力を持って向かえてくれます。

そして、林道に到着。
さらに余裕があるなら、越沢バットレスの岩場見学までオプションで付けられます。
(+1時間半程度の歩行)
御岳山から始まり、登山道、破線、滝、岩。
山に関する色々な楽しみを体験していくツアーです。
そして、本日は中でも良かった!

登山道は真っ白、大岳山までは軽アイゼンがサクサクと心地良い。
海沢探勝路では、トレースが薄く、足首程度のラッセルでスパッツや登山靴の有り難みを知る。

さらに、海沢の大滝は美しく凍っている。
(カメラ撮影していたおじさんによれば、10年ぶりくらい、とのこと。)

下の写真のように、釜も凍っており、上を歩けます。
東京に居ながら気分は極寒の地!
奥多摩好きの方々、今はチャンス!
今年は、雪も景色も当たり年です。

何度も歩いた道ながら、僕も変化を楽しめましたよ。
具体的な行程
7:00 御岳駅
7:10 バス乗車
7:20 ケーブル下
7:30 ケーブル乗車
7:35 ケーブル下車
8:30 御岳山頂神社
10:30 大岳山頂
12:50 海沢園地
14:50 越沢バットレスの下
15:30 鳩ノ巣駅
冬の低山ハイクは、夏山装備に加えて
・軽アイゼン
・手袋
・帽子(特に、耳が隠れるもの)
・ビバーク準備品(非常食とツエルト、これは夏もあった方が良い)

くらいが必要になります。

それに、夏以上に道が分かりにくいことがありますので、地図読み能力はあった方が良いですね。

ただ、逆に言えば、たったこれだけの投資で冬の低山ハイクは楽しめます。
気軽に出来ますので、山は夏だけなんて言わずに是非とも1度行きましょう!