2012年1月18日水曜日

錫杖岳、ニュー左方カンテ(敗退)

1月17日(火)は、静岡のOさんという知り合いと、自分のクライミング。
前夜発で、北アルプスの前衛峰の錫杖岳に行って来ました。
この日、予定していたのは、上の写真の中央。
1ルンゼというアイスクライミングルートです。

が、肝心の氷が貧弱な上に、チリ雪崩が凄い日だったので、別ルートに転戦。
右往左往して、最終的に“左方カンテ”というルートに取り付きました。
さて、この左方カンテ。
岩は、小川山並に硬く、アルパインルートとしては最高レベルの快適さを持っています。

以前は、残置ハーケンが多く、夏は初級者にとって最初の本番マルチピッチとして、冬は冬壁の最初の1本として、大人気でした。
ただ、残置にクリップするだけだと、フリーマルチと変わらないという憂いは囁かれていました。

が、まだ残置を掃除するには時期尚早なんだろうと、放っておかれたルートです。

そして、それが近年、残置ハーケンが綺麗に撤去され、ついにリニューアルオープン!
本当にオススメな、アルパイン入門ルートになっておりました。
恥ずかしながら、僕も残置を使ってこのルートを登ったことがあります。
夏も、冬も。

当然、そのときは、それなりに嬉しかったです。
しかし、今時のスタイルに共感を持つに連れ、段々と自分の登山歴から抹消したい記録になっていきました。
(「やっぱ、あれは山に対してフェアじゃない気もするなあ・・・」という感覚)

とはいえ、残置の無くなった左方カンテを、今の自分で完登できるのか?
正直、自信も無くて放置していた課題でした。

そして、何度もトレースしたルートを再チャレンジするのは、やっぱりワクワク感も足りないし。
しかし、本日トライしてみたら、思った以上に面白かった!
プロテクションが取りにくいと言われる核心も、思ったよりカムが効きます!

そして、アイゼン、アックスを駆使した岩登りのムーブも、久々にちょっと楽しい。
また来ようと思います。

夏は、初級者の方々も是非!
岩も硬いし、アルパインルート入門にオススメですよ。

行動記録
5:00 槍見温泉出発
8:00 クリヤの岩屋
9:30 1ルンゼの取り付き(雪崩が危険そうで転戦)
10:00 注文の多い料理店の取り付き(北沢のチリ雪崩がすごくて転戦)

10:30 左方カンテの左の凹各をクライミング開始(ちなみに、これは意図的ではなく、単純に記憶違い)

1P目(Oさんリード):30m、Ⅳ級。見た目より悪い。本格的なチムニー登り。
2P目(石田リード):25m、キノコ雪との格闘(グレード付けがたし!)。雪庇を落としながらの前進。左方カンテ2P目終了点付近に出る。
3P目(石田リード):40m、Ⅴ級。最初、Oさんが行くが、ラインを誤ってしまい、敗退してリード交替。そこから、久々の超本気クライミング。
素手になって、2時間近く掛け、さらにテンションまで掛けながら、ようやくトップアウト。
しかし、大充実。

“ニュー左方カンテ”、思った以上に良いルートじゃないか!

16:00 下降開始
17:00 下山開始
18:30 槍見温泉到着

この日はアプローチのトレース無しにつき、ラッセルだけで半日掛かりました。
ただ、今回は、自分より強いパートナーだったので、7割以上ラッセルしてもらっちゃいましたが。

ちなみに、左方カンテはトップレベルの方々も大好きみたいで、天気が悪くて目的のルートが登れない際に、トレーニングで登っていると伺いました。
吹雪の中、素手にも絶対なれない気温で登るなんて、僕には全く想像できませんが。

初級者からトップレベルまで楽しめる、良いルートですね。