2011年11月14日月曜日

ルートは気にせず、ラインを登る

11月10日(木)は、自分のクライミングでミズガキへ。
今回は、ティミーこと青木くんです。
彼とは、アラスカ以来で組む状態。
K2の最年少記録で有名な彼ですが、現在はクライミングジム“スポーレ”で店長をしながら登っております。

持ち前の身体能力、筋トレ好きが極まり、最近はスポーツクライミングの調子がウナギ登りだとか。
で、今回はミズガキの中でも、記録を聞かないラインを登って来ました。
どうやってそのラインを見付けたかと言うと、2週間前に来たときに「あそこ、登ったら面白そうじゃない?」という話になったからです。

この手のクライミングをやっていないと、分かりにくいでしょうね。
例えば、下の写真を見てみましょう!(今回登った岩の対面にある岩壁)
壁のスケールは、およそ150mくらい。
ロープで言うと、5ピッチくらい登ると完登出来る計算でしょう。(蛇行や短めに切ることも考慮に入れて)

この中で、下から上まで登れそうなラインを目で探します。
真ん中には、大きなチムニー(体が入るほどの大きさの割れ目)が目に入って来ます。
そこを「コエー!」と言いつつも楽しそうに登っている自分の姿が思い浮かんだら、バッチリです!

一般的な登山では、最も易しいラインから頂上を目指します。
山そのものを、自然の要塞と見なしたとき“最も易しいライン”のことを弱点と呼びます。
登山は、登頂が最大の目的!
なんにせよ、弱点が最優先です。

同じく、クライミングでは壁の中の弱点を突いて登頂を目指します!
とはいえ、クライミングは一般登山以上に過程も楽しみます。

壁の真ん中に一筋のヤブが走っているより、一筋のクライミング対象が走っていた方が、クライマーの興味をそそるのです。

そして、その対象はクラック・凹角・リッジなどで、岩登りの中では弱点と呼ばれる形状です。

さて、さっきの写真に戻ると。
あとは、そのチムニーに下から辿り着けるか、チムニーの上部は頂上に登れそうかもチェック!
これで、7割方勝算が立ったなら、あとは後日チャレンジしに行くのみです。
ただ、今回。
実は、狙ったラインとは違うところを登ってしまいました(笑)。

上部は、あのラインを登ろうと思って取り付いたら、その右隣の易しいラインに入り込んでしまって、割りと簡単に頂上へ。
そっちが弱点ですからね。
登るうち、導かれてしまいました。
あとは、頂上からの景色を堪能。
下降は、何とか当初目的のクラックだけでも登ろうかと探検気分。
四苦八苦で、下の写真のクラックには辿り着きました。
が、あまりにも難しそう(危険そう)で、見学だけに終わりました。
自分の目で見て登るクライミングは、当たり外れもありますね。
ただ、拍子抜けだったと言って、悲観することはありません!

探検気分は面白いし、登るうちに次々と周りの岩のラインが見えてきちゃうのです。

ミズガキは、自然条件こそ低山です。
が、内容的にはアルパインクライミングと言って遜色ないと思います。

具体的に登ったライン
・カンマンボロンの右端
1ピッチ目(5.9、15m、石田リード):ジャミングが効くワイド。かなり風化している。
2ピッチ目(5.10d、15m、青木リード):垂壁~薄被りのフェース系クラック。風化したスタンスが危うく、ついつい力が入ってしまう。めちゃくちゃパンプした。
3ピッチ目(5.7、50m、石田リード):チムニー状ルンゼで高度を稼ぐ。部分部分、小悪い。
以降は、ロープを付けてはいるが、ほとんど歩きで頂上。

全ルート中、残置ハーケンも2本あったので、昔の人も登ったんでしょうか。

下降は、当初目的のクラック探しの探検。
3時間くらい掛けて、行きつ戻りつしながらの下降。

取り付きに戻ってからは、その他の岩場の偵察巡り。
次回は、もう来年でしょうか?
楽しみです。