2011年10月20日木曜日

終了点はゴールか?

10月15日(土)、16日(日)は、岩場リード講習。
今回は、最近ジムでのリード講習を終えたばかりの男性OSさん、女性2人組のIGさん、SJさん。

両日とも、小川山にてリード講習という予定でしたが、初日は雨予報。
やむ無く、1日目はランナウトにてロープワーク講習となりました。

今回の最大の核心は、終了点作業。
ジムの場合、終了点にロープを掛ければそれで降りることが出来ます。

しかし、岩場の場合はゴールとなる場所にある終了点に着いても、ロープを掛けるべきもの(カラビナ)が無いことも多く、多少のロープワークが必要とされるのです。

 今回は、その際のロープワーク(結び替え、懸垂下降)が主となります。
それに加えて、分かっておいて欲しい点が幾つかあります。

まずは、終了点の仕組み。
多くの終了点は、複数のボルトを組み合わせて、力を掛けられて最強になる部分を作っています。
初心者が、その最強点以外を使ってしまう可能性は十分にあります。
そのためには、一応、流動分散、固定分散、独立分散などの仕組みくらいは知っておいて欲しいものです。

次に、ボルトの種類。
「これは、あまり信用しない方が良い」ってものは、覚えておいて欲しいものです。
さらに、もう1点。最近、話すようにしていることがあります。
それは、「終了点がゴールとは限らない」ということ。

というのは、ルートというのは岩そのものを登るために作られています。
当然、岩の頂上をゴールとするのが理想です。
あるいは、100mの壁に30mのルートを作るなら、完全に立って休める場所(orそれに近いレストポイント)がゴールとなるわけです。

しかしながら、終了点設置側の事情からすると、岩の頂上やその先に設置するのは難しいです。
例えば、少し下に終了点を設置すれば
・ロープが擦れにくい
・落石を誘発しにくい
といったメリットがあります。

そんなわけで、終了点は最後の棚に立つ直前であることがほとんどです。
そして、その最後のムーブが案外悪いこともあります。
また、終了点より上に登るのは、戻りのクライムダウンの手間も馬鹿になりません。(たまに恐い)

そんなわけで、「終了点にクリップして、すぐにロープにぶら下がったらゴールと言えるか?」という問題があります。




とはいえ、それを知らなければテンションと叫んで完登にするのは当然でしょう。
なんせ、その名も「終了点」なんですから!

さらに、それが普通になってくれば、「終了点=ゴール」と見なして、「それじゃ完登とは言えない」なんて誰も言いません。

僕の知っている限り、スポーツルートをやっている人の多くが、多少不安定な態勢で終了点クリップをこなしても完登と呼んでおります。
これは、ルート製作者側の意図とはズレるんでしょうし、岩登りの本来の姿とも外れ気味です。

が、やっぱり終了点でゴールにしても、一般的には完登と認められます。
限界トライ中に、そこまで拘りを保てるでしょうか・・・。
最後の棚に上がる一歩で落ちそうなら、尚のことです。

そんなわけで、「安定するまでゴールと見なすな!」なんて押し付けがましいことは申しませんが、自分なりに考えてみてください、という程度には話すようにしています。

スポーツクライミングに何を求めるか、で答えも変わって来そうですね。
ちなみに、僕も終了点より上がボロい岩の場合などは、そこで終了することにしています。

具体的な講習内容
・終了点作業
(結び替え、懸垂下降、終了点が木のみの場合)

・複数支点を合わせる方法
(流動分散、固定分散、独立分散)

・ヌンチャクの向き(ウィップフラッシュ現象、など)
・ボルトの種類
・クライムダウン出来る範囲で登る練習
・本気トライ&実践練習を多数

講習に使用したルート
エリア:ソラマメスラブ
・三色すみれ(5.9)、甘食(5.10b)、やわらかソラマメ(5.8)、ソラマメ(5.9)、マイルドタジヤン(5.8)、ワイルドタジヤン(5.10c)

かなり登れる方々だったので、恐怖グレードで名高いソラマメもリードしてもらえました。
とても安定した登りでしたが、講師もドキドキです。